Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~君子危うきに近寄らず

先日、日課の水中運動に行って、ジャグジーで寛いでいた時の、話。

近所のおばさん「あなた、のんびり気持ちよさそうに

ジャグジーに入ってらして・・・。あなた、実家は裕福なおうちで、幸せに育ったんでしょうね」

私「いえ、いえ。そんなことはありませんよ」

「(祖母と両親は、当時、日本の植民地だった台湾からの移民で)いい時もあれば、悪いときもあって、一家で夜逃げしたこともありますよ」

おばさん「そんなご冗談を。あなたは絶対、いいところの御嬢さんでしょ」

私「・・・」(な、なんという誤解!)

台湾からの移民だった父は、日本語ができない事もあって、商売がうまくいったり、いかなかったり。

私が高校二年の時、とうとう倒産して経済状態が最悪になり、私は高校を卒業すると、上京して、お勤めをしながらお金を貯めて、自力で大学(夜間)に進学したのですけどね。

もし、私が、彼女の言うように、割とおだやかな表情をしているのだとしたら、それは仏陀釈尊)のおかげでしょう。

仏陀は言いました。

世界中の道路に棘が生えているとして、その道を全部、皮革で覆う事は出来ない。あなたが棘で傷つきたくないと言うのなら、あなたが革靴を履けばいいのです、と。

そう、外界に生じる、嫌なこと、悲しい事は、これまでも、決してなくなることはなかったし、これからも、決してなくなることはない。

けれども、己自身の六根(目、耳、鼻、舌、身体、意)の門を守ること、これならできます。

道具もいらないし、お金もいりません。ただひたすら、己の心をよく観察して、心が外界に漂い出るのをコントロールする、それだけです。

己を大事に思う人は、危うきに近寄らず、です。

「六根の門を守れ」と教えた仏陀の技を、生涯かけて磨けば、いつか君子になることができますよ。

 

 

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~5-32

精進の作用は、これらの相応する名法を安定させることである。

精進は、それらが、己自身の任務を遂行し、また、(+安般念などが)中断してしまわないようにし、それと相応する、心とその他の心所を強化し、また支援する。

たとえば、もし、ある人が止禅(たとえば、安般念)を通して、煩悩を鎮伏しおうと思い、かつ、それをどのように育成すればよいのかを知っているとする。この事は、止禅に関する精進と気力・根気の縁と関係がある。

もし、ある人の目標が、如実に究極法を知ることであるならば、観禅を育成するための精進の縁と関係がある。この種の精進は、相応する心と同時に生起する;当該の心は、正念をもって、究極名法または色法を知る(+ことができる)。

正精進は、その因と縁によって生起し、精進に尽力している私、は存在しない。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-33につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~5-31

ちょうど、老朽化した家屋が、新しい柱で補強されて、直立して倒れなくなるように、同様に、精進によって強化されると、発心した禅修行者は、撤退しないし、または道徳的な腐敗もしない。

補強・強化という特徴は、このように理解されるべきである。

戦場にある時、小さな軍隊は、撃退される可能性がある。しかし、国王の派遣する強力な、後方部隊の支援の下であれば、彼らは敵を撃破することができる。

このように、精進は、その相応する名法が委縮したり、撤退したりしないようにすることができる;それは、それらを向上させ、支援する。

このように精進には、支持、支援という特徴がある。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-32につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~5-30

8-6-2-2 精進(viriya)

精進とは、奮闘努力の境または行為である。

その特徴は、支持、奮闘、または具生、或いは相応の名法(心と心所)を駆動して、目標に向かわせる事であり、たとえば、(+その目標とは)安般念禅相などである。

その作用とは、支持または、これらに相応する名法を、安定させることである。

その現起(=現象)は、継続して堅持する事である。

その近因は恐れ(saṁvega)または事において精進する、であり、すなわち、何事かにおいて、精進を励起する事である。

それは、まるで、老朽した家屋が倒壊しないように、新しい支柱を何本か足すかのようであり、又は、国王の軍隊が、敵を撃破する為に配置された後方支援の軍隊のように、精進とは、すべての相応する名法を支えて、それらが安般念禅相などの目標から撤退しないようにすることができるものである。

(+精進が)正しく励起している時、それは一切の成就の根であると、見做すことができる。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-31につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>。

 

 

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~5-29

「激発(=発奮)」の特徴について、《殊勝義註》では、また別の譬えを使って、以下のように解説している。

鰐、怪物、鮫、夜叉などがいる大きな河の両岸のそれぞれに、大勢の人々が立っていてるが、恐ろしくて、河を渡れない。

一人の勇士が河を渡るためにやってきて、剣でもって、それらの危険な動物を取り除き、皆のために道を開き、彼らを対岸に渡れるように、してあげた。

《殊勝義註》は言う。

・・・ゆえに、信は、先導であり、人々が布施をする、持戒する、布薩を守る、修行をする前提となるものである。

上記のようであるから、次のように言うのである:信の特徴は、浄化と激発である、と。

故に、禅の修行の時、三宝または業報の法則などに信心(=確信)がなくてはならない。

非常に重要なのは、仏陀の証悟を信じる事である。

というのも、もし禅の修行者が、この種の正信に欠ける時、彼は禅の修行を放棄するからである;

仏陀の教法を信じるのも、非常に重要である。

すなわち:四道、四果、涅槃及び教理である。

仏陀の教法とは、我々の実践する禅の修行方法と修習の次第(=順序)であり、この段階で非常に重要になるのは、教法への深い確信である。

もし、禅の修行者が以下のように考えたとする:「呼吸する時の息を観察するだけで、ジャーナに至ることができるのだろうか?」または「(+人々が言うように、白い綿のような禅相は取相で、透明な氷の塊のようであるか、またはガラスのようでるときは、似相であるというのは本当であるのか?」

もし、このような疑念が心にあるとき、それらは以下のような見解を導くことになる:

「現代のこの時代、我々はジャーナに到達することはできない。」

この種の見解のせいで、彼は仏法への信心(=確信)が減退し、禅定の修習を放棄することになる。

故に、安般念業処によって、禅定の修行をしている人は、堅固な信心(=確信)をもって、まったく疑いの余地なく、安般念を修行しなければならない。

彼は以下のように考えるべきである:

「円満なる正覚の仏陀の教法を、段階を追って修行するならば、私は必ずジャーナに到達することが出来るに違いない。」

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-30につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~5-28

信について、《殊勝義註》では、以下のように言う:

信の特徴は、浄化と激発(=発奮)である。

転輪聖王の清水宝石のように、水の中に放り込むとそれは、個体、堆積物、水草及び泥を沈殿させることができ、混濁した水を清らかに、かつ透明で、また、汚染の影響を受けないようにすることができる。

信が生じる時、諸々の蓋が捨て去られ、汚泥は沈殿し、心は浄化され、心は(+汚染の)干渉を受けなくなる;心はすでに清浄になっているため、人は発心して、布施、持戒をし、布薩(=ウポーサタ)を守り、禅の修習、止禅と観禅の修行を、始める。

このように、信は、浄化の特徴を有する。

《殊勝義註》は《ミランダ王問経》の中の一つの比喩を参考にしている:ある一人の転輪聖王と、彼の軍隊が小さな川を渡ろうとした。小川は軍隊によって汚染された;しかし彼の清水宝石が小川を浄化し、砂泥と水草を沈殿させ、水を清らかにして、また(+汚染からの)影響を受けないようにした。汚染の影響を受けた水は、まさに煩悩の影響を受けた心と同じである。

信は心を浄化し、心を清らかなるもの、透明で、汚染の影響を受けないものに、変える。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-29につづく)

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<パオ・セヤドー「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>