Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『禅修指南』6‐3

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

これらの經論の指示によると:

(一)禅修行者は先に、五取蘊を構成する所の、一切の名色法を、個別に識別しなければならない。

一切の色法を個別に識別する智慧を「色分別智」(rūpa pariccheda ñāna)と言う;

一切の名法を個別に識別する智慧を「名分別智」(nāma paricheda ñāna)と言う;

名法と色法を、二種類の個別の組み合わせであると識別する智慧を「名色分別智」(nāmarūpa paricheda ñāna)と言う。

この三智は、それぞれ、

「色摂受智」(rūpa pariggaha ñāna)、

「非色摂受智」(arūpa pariggaha ñāna)と

「名色摂受智」(nāmarūpa pariggaha ñāna)という。

この段階において「人というのはない、有情というのはない」「(+我々は)無我的な存在であり、ただ色法と名法があるのみ」と理解するのを

「名色差別智」(nāmarūpa vavaṭṭhāna ñāna)と言う。

一切の名色法を識別する時、もし、禅修行者がいまだジャーナを証得していないのであれば、ジャーナと関係のある名色法(+の観察)は省略する

もし、ジャーナを証得しているのであれば、禅修行者は、それらを観照しなければならない。

(6-4につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』6‐2

 <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

当該の経の註釈は、更に一歩進んで以下の様に解説する:

「それは三遍知の事である」と:

Iti imasmiṁ sutte tissopi 

pariññā kathitā honti.

’Abhijānan'ti hi vacanena 

ñātapatiññā kathitā、

’parijānan'ti vacanena、tīraṇapariññā、

virājayaṁ pajahan'ti dvīhi pahānapariññāti.--

「この經の中において説かれているのは、三遍知の事である。

『知解』という語彙は『所知遍知』(ñāta pariññā)の事であり、『通解』は、『審察遍知』(tīraṇa pariññā、または度遍知とも)の事であり、『離欲』と『捨棄』の二つは、『断遍知』(pahāna pariññā)の事である。」

こうした事から、(+我々は)三遍知によって、一切は五取蘊の名色法に属しているのだという事を、徹底的に理解して初めて、名色法への愛(=執着)を断じ除いて苦を滅する事ができる(+事が分かる)。

また、《大疏鈔》(mahā-ṭīkā)では以下の様に言う:Taṅhi anāvasesato pariññeyyaṁ ekaṁsati virājitabbaṁ.--

「先に、徹底的に、全くの遺漏なく、この観禅の目標である所の、五取蘊を識別しなければならない。」

その後、それは禅修行者に、名色への愛着・執着を断つために、一切の名色法の無常・苦・無我の三相を観照する様にと、指示する。

(6-3につづく) 

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>  

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijyubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

翻訳『禅修指南』6‐1(63 /520)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

第五章:色業処の基本理論

《観禅の修行における諸法の観照

’Sabbaṁ bhikkhave anabhijānaṁ aparijānaṁ avirājayaṁ appajahaṁ abhobbo dukkhakkhayāya・・・(P)・・・Sabbāñca kho bhikkhave abhijānaṁ parijānaṁ virāyaṁ pajahaṁ bhabbo dukkhakkhayāya’(Salāyatana Saṁyutta、Sabbavagga、Aparijānana Sutta)ーー

「比丘たちよ。

一切において、知解せず、通解せず、離欲せず、捨棄しない者は、苦の滅を得る事はできない・・・

比丘たちよ。一切において、知解し、通解し、離欲し、捨棄する者は、善く苦の滅にする事ができる。」(六処相応、一切品、不通解經)注21

注21:『漢訳南伝大蔵經』「相応部」四。

(6 - 2 につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版

中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

 

翻訳『禅修指南』5‐16

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

《近行定に向かって》

四界に基づいて、定力を育成して、近行定に向かう時、あなたは、異なった種類の光を、見る様になる。

ある種の禅修行者は、その始まりの段階において、その光は、灰色の煙の様である。

もし、引き続き、灰色の光の中の四界を、識別し続けるならば、それは白い綿花の様になり、その後に、雲の様に、白く光る様になる。

この時、全身は、一塊の白い色をした物体に変る。引き続き、白い色の物体の中の四界を識別していると、それは透明で光り輝く、まるで氷の塊か、またはガラスの様になる。

この明るくて浄なる色法は五根であり、また「浄色」(pasāda rūpa)とも呼ばれる。

その中の身浄色(kāya pasāda)は、全身に遍満している。

この段階において見える所の、身浄色、眼浄色、耳浄色、鼻浄色及び舌浄色は、団塊状に属するものである。

というのも、あなたはいまだ、三種類の「密集」(ghana)を、看破していないが故に(第五章参照の事)。

もし、継続して、透明体の中の四界を識別するならば、それは発光し、光芒を四方に発射する様になる。

この光が、少なくとも半時間、持続的に出現する様になったその後に、あなたが、透明体の中の空界(小さな空間)を識別するならば、当該の透明体は、粉砕されて、名を「色聚」(rūpa kalāpa)と呼ばれる、多くの極微な粒子となる。

(+修行者が)名を「心清浄」(citta visuddhi)という、この段階に到達した時、色聚の分別の修習を通して、「見清浄」(diṭṭhi visuddhi)を育成する事ができる。

しかしながら、あなたの定力の光が、いまだ強くて盛んではないながら、その他の止禅を修習したいと思う時、色聚を見る前に、止禅の修習に転換するのがよい。

この場合、あなたは32身分(注20)に転換する事ができる。

そして、その中の一つの身分を選んで、その不浄を観じて、初禅を証得するまで、定力を育成する。

または、その中の一つの身分の、色彩を選んで、第四禅に至るまで、遍禅(kasiṇa)を修習し、その後に、慈心観、仏随念、不浄観及び死随念の四種類の護衛禅を修習する。

もし、禅修行者が、純観行者(suddha vipassanā yānika)である場合、彼は、四界のそれぞれの性質を、透明体が見えるまで、識別しなければならない。

その近行定の光が極めて明るくなった時、(+禅修行者には)諸々の色聚が、識別できる様になるが、そうなるまで、修習を進めなければならない。

注20:《智慧の光》の中国語版では、パオ禅林の禅修行者は、通常、安般念または四界分別観の修習を入門としている。もし、後者を選ぶならば、禅定の光が充分に輝く様になるまで待って後、32身分、白骨観、白遍と四護衛禅等の修習に転じ、その後に、色業処、名業処、縁起及び観禅の修習に進む。

(6-1につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

 

翻訳『禅修指南』5‐15

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(七)諸々の相を識別する(lakkhaṅato):

あなたが、禅の修行を開始したばかりの者で、一つひとつの界の、自性相(sabhāva‐lakkhaṅa、すなわち、特徴)が、いまだ明確でない時、それらの作用または現起(現象)に、専注する事ができる(=専注してもよい);

定力が比較的良好な時、あなたは、一つひとつの界の、自性相に専注しなければならない。

すなわち:

地界の硬さと粗さ;

水界の流動;

火界の熱さと冷たさ;

風界の支持性である。

この時、あなたは、各種の界をのみ、照見するだけであり、かつ、それらを「人」とか「我」とかに照見することはない。

(八、九、十):疏鈔の中において、(八)《相経》(注18)、(九)《無上清凉経》、(十)《覚支経》によって、修行するべきであると、説いている。この三部の経は、禅修行者が、信、精進、念、定、慧の五根(indriya)をバランスさせねばならない事、及び、念、択法、精進、喜、軽安、定、捨の七覚支(注19)をバランスする事を説いている。

注18:本書第一章参照の事。

注19:五根と七覚支のバランスに関しては、第二章参照の事。

(5-16につづく)

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翻訳『禅修指南』5‐14

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(五)概念を超える(paññattisamatikkamanato):

「地水火風」と心で念ずるだけではいけない。同時に、それらが代表する所の、真実・内実に注意を払う。すなわち:硬さ、粗さ、重さ、滑らかさ、軽さ、流動性、粘着性、熱さ、冷たさ、支持性と推進性である。

(六)不明確なものを捨てる(anupaṭṭhānamuñcanato):

あなたが、12種類の性質のすべてを、識別する事に熟練した後、それを四つのグループに分けて、専注力を育成する時、一時的に、不明確な性質のものを捨てる事ができる。しかしならば、この様にすると、諸界のバランスが失われて、痛みや締め付け(+感)が生じる時、この様にしてはならない。

また、一つひとつの界において、あなたは一種類の性質を保留しておかねばならない。四界分別観を修行するのに、三界だけを修行するとか、二界だけ修行するとか、一界だけ修行するとかであってはならない。

最もよいのは、12種類の性質すべてに明確であって、どの様な性質も(+瞑想の対象として)捨てない事である。

(5-15につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>

翻訳『禅修指南』5‐13

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

(一)順序良く(anupubbato):

ここで言う順序とは、仏陀の教えた順序、すなわち、地、水、火、風である。

(二)速すぎない(nātisīghato):

速すぎると、四界がよく観えない。

(三)遅すぎない(nātisaṇikato):

ゆっくりしすぎると、(+四界分別観が)成就しない。

(四)干渉を避ける(vikkhepapaṭibāhanato):

心をして、禅修の対象(四界)に専注せしめる。心を、その他の対象に移動させない。

(5-14につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

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