Sayalay's Dhamma book

中国語で書かれた仏教書(主にテラワーダ、南伝仏教系)を日本語に翻訳して公開。たまには<般若の独り言>にて日常の心模様を独白します。                    2018年5月25日クムダ・セヤドーより初心者瞑想指導の許可を得る。

<パオ・セヤドー問答集~012>問答(三)問3-1>全文

 #012-150707

問3-1:安般念を修行する時、三種類の禅相があります:遍作相、取相、似相といいますが、遍作相とは何ですか?遍作相は必ず灰色をしていますか?遍作相と取相の間にはどのような違いがありますか?

答3-1:安般念を修行する時、三種類の禅相、三種類の定(samādhi)及び三種類の修習(bhāvanā)があります。三種類の禅相とは:遍作相、取相と似相です。三種類の定とは:遍作定(parikamma-samādhi予備定)または刹那定(khaṇika-samādhi)、近行定(upacāra-samādhi)と安止定(appanā-samādhi)で、三種類の修習とは:遍作修習(予備修習)、近行修習と安止修習です。

遍作定は、ある時には刹那定と言いますが、この種の定の対象は、遍作相、取相または似相です。遍作修習とは遍作定の事でもあります。

真正な近行修習または近行定は、ジャーナのすぐ近く、又は近止定の前に出現するものです。しかし、ある時は安止定(appanā-jhāna)の前(ただ、安止定までまだ一定の距離がありますが)、似相を対象とする深くて強い定もまた近行修習または近行定といいます;ただし、これはただの比喩なのです。というのも、真正の近行修習または近行定は非常にジャーナの近くに接近しているからです。遍作定(または刹那定)が完全に育成された時、それは近行定を生じさせます:近行定が完全に育成された時、それは安止定またはジャーナを生じさせます。

前回の講座で、我々はすでに禅相について研究した事があります。三種類の禅相すなわち遍作相、取相と似相があります。

  1. 遍作相:自然の呼吸も遍作相の一種です。(呼吸の鼻付近の~訳者)接触点も一種の禅相です。ここで「禅相」というのは:禅定の対象という事です。註釈では鼻孔相(nāsika-nimitta)と上唇相(mukha-nimitta)は共に、初心者の遍作相と言っています。定力が少し増強された時、通常は鼻孔の(息の~訳者)出口付近に灰色または煙霧のような色が出現しますが、このような灰色又は煙霧のような色を遍作相といいます。この時の定力は遍作定といい、この時の修行は遍作修習といいます。ここまでの段階のすべての定力と修行は遍作定、遍作修習といいます。この段階では、禅相は煙状の灰色とは限らず、その他の色である可能性もあります。
  2. 取相:前述の定力が強化されて力のあるものになった時、煙状の灰色だったものは、通常、綿のような白色に変化します。ただ、心の中の「想い」の変化によって、その他の色に変化する事はあります。想いが変化すると、それにしたがって、禅相の色と形状も変化します。もし禅相の色と形状がしばしば変化するならば、定力は徐々に低下していきますが、これは修行者の想いが変化するのが原因です。想いが変化する度に、対象もそれにつれて変化し、修行者の注意力は異なる対象に分散されます。故に、修行者は禅相の色や形状に注意を向けるのではなくて、安般念の禅相にのみ注意を向けるようにします。これが二番目の禅相です。この種の、取相に専注する定力もまた遍作定で、この種の修行もまた遍作修習です。
  3. 似相:定力がさらに強く、力のあるものになった時、取相は似相に変化します。通常、似相は澄み切っていて、明けの明星のように明るく輝き、光を放っているものです。このような状況にあってまた、想いが変化すると、禅相も変化します:定力が強くて勢いがある時、修行者が禅相を長くしたいと思えば長くなるし、短くしたいと思えば、短くなります:それをルビーのように赤くしたいと思えば、ルビーのような赤い色に変化します。これは修行者が想いを変化させたのが原因です。《清浄道論》では、修行者はこのような事をしてはいけないと書いていますが、もし修行者がこのような事をすると、たとえ非常に深い定力があっても、それは徐々に弱まっていきます。修行者が異なる想いを生じさせるたが故に、注意力を異なる対象に分散させる事になります。ですから、修行者は禅相を弄んではなりません:もし禅相を弄ぶなら、彼はジャーナに到達する事ができません。
  4. 似相に専注する最初の段階の定力もまた遍作定で、その修行もまた遍作修習です。ただし、似相に専注してジャーナに近くなった定は近行定といい、その修行は近行修習といいます。安止定が生起した時、専注する禅相は依然として似相ではありますが、しかし、当該の定は安止定であり、当該の修行は安止修習といいます。(完)

 

<禅修問題与解答(パオ禅師等講述)>中国語版より訳出。  

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:15年1月緬甸(ミャンマー)から日本への帰路の途中、台湾に寄りました。パオ・セヤドーの著作を頂けると聞き、新北市の寺院を訪問して上記<禅修問題与解答(パオ禅師等講述)>(中国語版)を入手しました。<パオ・セヤドー問答集(仮題)>として、毎日又は隔日、一遍ずつ翻訳して掲載する予定です(出張時除く)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、パオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。