Sayalay's Dhamma book

中国語で書かれた仏教書(主にテラワーダ、南伝仏教系)を日本語に翻訳して公開。たまには<般若の独り言>にて日常の心模様を独白します。                    2018年5月25日クムダ・セヤドーより初心者瞑想指導の許可を得る。

パオ・セヤドー問答集~#054>問答(六)問6-6

☆11月より長期リトリートに入る為、これより先、公開の翻訳文が少々多目になっています。よろしくお願いいたします。

#054-150810

問6-6 もしある日、意外な事故に会って死ぬ時、たとえば:飛行機事故等、我々の心はそういう時に、身体のいかなる苦痛をも感じない為に、身体を「離れる」事はできますか?どのようにすれば出来る様になりますか?その時、修行者は自己の修行の力量に合わせて、恐れなく、自在でいられますか?そのように対処するには、どの程度の禅定が必要ですか?

答6-6 必要とされる禅定の程度は、如意通(iddhividha-abhiñña神変通)のレベルです。その時、あなたはこの神通でもって危険から脱出するようチャレンジしてみるのが良いと思います。しかし、もしあなたにすでに熟した、ちょうど果報が生じようとしている悪報の悪業があるなら、あなたはモッガラーナ尊者の例を覚えておくべきです:彼は神通に精通していましたが、しかし、悪業が熟するその日、彼はジャーナに入る事ができませんでした。これは、熟した悪業が原因であって、煩悩や五蓋が原因ではありません。ゆえに、強盗たちは彼の骨を米粒くらいに細かく叩き潰す事ができました。強盗たちが、彼が死んだと思ってそこを離れた後、彼はようやくジャーナに入り、神通力を回復しました。彼は決心を下し(adhiṭṭhāna)、身体を正常に回復させ、その後に仏陀に会いに行き、仏陀に自分の入涅槃を許可してもらうよう頼みました。次に彼は、カラシラ寺院(Kalasila Monastery)に帰り、そこで般涅槃に入りました。この例では、熟した悪業は果報を生みます;

ただ、果報を受けた後でしか、業力は解消する事がないので、彼は業力が解消した後になって、ようやく神通力を回復させる事ができました。

同様に、もしあなたが熟しそうな悪業がなく、かつ神通力があるならば、航空事故から離脱する事をチャンレンジしてみるといいです。しかし、普通のジャーナまたは観智ではこの種の危機からあなたを救い出す事はできません。ここで、我々は、一人の人間がこの種の意外な事故に出会うという事は、通常は、悪業がすでに熟したのが原因である、と言います。

心は身体を離れる事はできません。というのも、心は必ず身体の六処の内の一つに依拠してのみ生起するからです。六処とは:眼浄色、耳浄色、鼻浄色、舌浄色、身浄色と心所依処です。この六処は、すべてあなたの身体の中にあります。(心を持つ我々が)人間社会に生まれて、どれか一つの処に依存しなければ、心は生起する事が出来ません。このように、心は身体から離れる事はできないのです。

然しながら、あなたにジャーナがあるならば、我々はあなたに危険が発生した時、素早くジャーナに入る事をお勧めします。これが出来るためには、ジャーナに入る為の練習を十分にしておかねばなりません。もし十分な時間をかけて練習したのでなければ、実践する事はできません。もしあなたが危機の時に、ジャーナに入る事が出来れば、ジャーナ善業のおかげで、危機を脱するチャンスを得られるかもしれません:がしかし、我々もそうなる事を確実に保証する事はできません。万一、ジャーナの(意識の)中で死んだならば、あなたは死後ある層の梵天に生まれ変わる事が出来ます;それには、臨終の刹那まで、(意識が)ジャーナの中に留まっていなければなりません。

もしあなたが観禅(vipassanā)に優れているならば、危機の時にあなたは再度観禅を修行するべきです。あなたは行法または有為法(saṅkhāra-dhamma)の無常(anicca)・苦(dukkha)・無我(anatta)の本質を識別するべきです。このような状況の下では、やはり先に充分な修行をしておく事が必要です。もしあなたが十二分に修行していて、かつ、臨終のとき徹底的に観禅を修行するならば、あなたはある種の道(magga)と果(phala)を証悟する可能性があります。もしあなたが阿羅漢果を証悟したならば、般涅槃に入る事が出来ます。しかしながら、もしあなたに神通もジャーナもなく、観禅を修行する事も出来ないのであれば、ただただ善業に依って危機を脱する事もできます。もしあなたに充分に強く、かつ長寿に至る善業があれば、その時の危機を脱する事はできます。ちょうど、マハージャナカ菩薩(Mahājanaka bodhisatta)の例のように。(完)

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中は、ブログの更新を休みます)。