Sayalay's Dhamma book

テーラワーダ系仏教書の翻訳は2019年夏を持ちまして終了致しました。これまでに翻訳しました内、23冊は<菩提樹文庫>にてPDF版を読むことが出来ます。今後、翻訳文を掲載する予定はありませんが、偶には<般若の独り言>にて日常の心模様を独白します。学問的な議論ではなく、ただの雑談、独り言です、お楽しみ頂ければ幸いです。2018年5月25日クムダ・セヤドーより初心者瞑想指導の許可を得ました。 初心者の疑問にはコメント欄にて対応します。

パオ・セヤドー問答集~#115>問答(九)問9-3

☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。

#115-150830

問9-3 通常、人々は、人が死んでも霊魂があって、永遠に不滅であると思っています。これは常見です。仏陀は我々に常見と断見を捨てて、中道であるように、と言っています。中道というのはどのようなものですか?そして、我々はもし解脱しないのであれば、引き続き6道の中で輪廻しなければなりません。この見方は、霊魂という名の自我があるという事を示しており、これは常見ではないでしょうか?

漢訳の《雑阿含経》では、八聖道は、世間的及び出世間的に説明が出来ると書かれています。禅師はどのようにお考えですか?凡と聖の利益とは何でしょうか?

答9-3 中道とは、すなわち、八聖道です。世間的な八聖道は、聖道を証悟する前の戒・定・慧の三学に含まれます。出世間的な八聖道は、四種類の聖道(ariya-magga)です。

世間的な八聖道の中の、正語、正業と正命は、戒学に属します。正精進、正念と正定は定学に属します。故に、あなたが止禅を修行する時、この三項の聖道分を養成している事になります。正見と正思惟は、慧学に属します。

八聖道の第一項は、正見です。正見とは何ですか?正見とは、苦諦、集諦、滅諦と道諦を正確に理解する事です。

苦諦とは何ですか?五取蘊が苦諦です。あなたが色業処と名業処を修行する時、観智でもって、あなたとその他の一切の衆生が、ただ名色又は五蘊によってのみ構成されていて、初めから「我」などというものはないのだ、という事を知るでしょう。この段階において、あなたは苦諦とは何か、を理解する事が出来、かつ、この正見によって、暫定的に身見(sakkãyadiṭṭhi)を取り除く事ができます。

名色を照見した後、あなたは更に進んで縁起の修行に取り組む事ができます。縁起とはすなわち、集諦です。あなたは、一組の過去の因が、一組の現在の果を作る事を見る事ができます。過去の因は名色に過ぎないし、現在の果もまた名色に過ぎません。故に、名色が名色を作っているに過ぎません。過去の因が生滅している時、それらは「我々が生起する事によって、何々の果報を生起させよう」などと考える事はありませんし、現在の果が「何々の因が生起したならば、我々も生起しよう」なととは考えません。因果は、ただ固定的な自然法則に従って生滅しており、因は如何なる努力をする必要もなく果を生起させており、因が発生したならば、その果もまた、何らの努力なしに生起する事ができます。因縁条件が熟した時、因の発生により、果の生起が起こります。因は無常・苦・無我であり、果も無常・苦・無我です。過去に我はなく、現在に我はない。このように、無我の法則と、生死輪廻の両者の間には、矛盾はありません。

あなたが縁起の修行をしている時、過去から未来に到る名色の相続流を照見して下さい。もし、あなたがこのように正確に修行する事ができたならば、暫定的に断見(uccheda-diṭṭhi)を取り除く事ができます。あなたは、すべての名色法は、それら自身の因縁によって生起している事を照見する事ができるでしょう。もし、あなたが、このように正確に修行する事が出来たならば、暫定的に無因見(ahetuka-diṭṭhi)を取り除く事ができます。あなたは、それぞれの因縁が、それぞれ各々の果報を生じさせている事を照見する必要があります。もし、あなたがこのように正確に修行する事ができたならば、暫定的に、無作用見(akiriya-diṭṭhi)を取り除く事ができます。このように、この種の縁起に関する正見は、我々の過去、現在、未来三世に関する疑惑を取り除けるだけでなく、種々の邪見も取り除く事ができます。

この段階になれば、あなたは、更に進んで、真正の観禅(vipassanā)を修行して、名色と、その無常・苦・無我を照見する事ができるようになります。この様に修行すると、あなたは暫定的に煩悩を取り除く事ができますが、これは世間的な滅諦です。観禅心と同時に生起する心所の中で、智慧心所が、まさに正見です。尋心所は、正思惟です。精進心所は正精進です。念心所は正念です。一境性心所は、正定です。また、修行中において、あなたは戒清浄を保持しますから、あなたは正語、正業と正命を具備している事になります。これらは世間的な道諦です。

あなたが生滅随観智まで修行した時、あなたが未来において阿羅漢果と般涅槃を証悟する状況を見る事ができます。たとえば、あなたは次の世であなたが20歳で阿羅漢果を証悟し、60歳で般涅槃を証悟するのを見るかもしれません。もしこの通りであれば、あなたは、あなたが20歳の時に阿羅漢果を証悟する事によって、すべての煩悩が滅尽し、かつ、60歳で般涅槃する時、すべての名色が滅尽するのを見る事ができるでしょう。この種の滅尽は、世俗的な滅諦です。

あなたが、涅槃を対象とする道智を証悟する時、八聖道のすべてが、道心の中に存在します(し、その事が分かります):涅槃を知り、悟るのは正見です;心を涅槃に投入するのは正思惟です;涅槃を憶念するのは正念です;涅槃を知り、悟ろうと努力するのは正精進です。涅槃に一心に専注するのは、正定です;正語、正業、正命というこの三項の聖道は、持戒の作用を有しており、聖者はたとえ夢の中でも、五戒の中のいかなる一戒をも、犯す事はありません。これらは、出世間の八聖道です。須陀洹道を証悟した後、最も多くて7回生死を繰り返えせば、最後の解脱を証悟する事ができます。これが出世間八聖道の利益です;世間的八聖道の利益は、出世間的八聖道の証悟へ向けて導く事ができる事です。

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます)。