波羅蜜とは何か?
波羅蜜とは大悲心と、方法善巧智(=方法において善く考えられた、
巧みな智慧、方便)に相応し、かつ、渇愛、我慢(我ありと言う
尊大な心)と邪見に汚染されていない、高尚な素質の事を言う。
例えば、布施、持戒などなどである。
なぜそれらを波羅蜜と呼ぶのか?
偉大なる諸菩薩は至上である。というのも、彼らは、布施、
持戒、禅定、智慧などなどの部分において、彼らの素質が
卓越しているが故に、諸々の有情の中で、最も優れた超越者
であるからである。
彼らは無比なる清浄戒を擁し、定力は深くて強く、智慧は
高くて広い。彼らの、あの禅定を基礎とする智慧は、諸法を
如実に、徹底的に知る事ができる。
彼らは、智慧の光でもって、過去と未来を照見する。
彼らは、この世界も、その他の世界も、照見することができる。
これらの波羅蜜によって、(最後には)彼らは涅槃を証悟して
仏陀になり、生死輪廻を離脱する。
彼らは、涅槃へ向かう八聖道を教え導く。
菩薩とは、これらの波羅蜜を成就し、かつ保護する人である。
そして、波羅蜜とは、これら至上者の高尚なる資質のことである。
故に、あなが方が菩薩であるならば、あなた方は、至上者に属する
高尚なる素質を成就しなければならない。
波羅蜜はいくつあるのか?
ある時、シャーリプトラ尊者は仏陀に聞いた:
「世尊、仏陀になるための方法はいくつありますか?」
仏陀答えて曰く:
「シャーリプトラ、仏陀になるための方法は10ある。
どの10か?シャーリプトラ、布施(dāna)は仏陀になるための
法である。持戒(sīla)、出離(nekkhamma)、智慧(paññā)、
精進(vīriya)、忍辱(khanti)、真実(sacca)、
決意(adhiṭṭāna)、慈(mettā)と捨(upekkhā)は、
仏陀になるための法である。」
(= )訳者。(つづく)
訳者コメント:日本の大乗仏教ではよく<方便>といいます。
「嘘も方便」なんて、仏陀は本当に言ったのかしらん、
と半信半疑でしたが、これですね、方法善巧智。
初めて納得。
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)