(六)徳の成就(huṇasampatti):
すなわち、神通などを証する聖潔な人徳。というのも、ただ八定と
五神通を擁する出家者が発する至上願のみ、有効であるから。
八定とは四色界禅と四無色界禅である。
五神通とは、神変通(如意通)、天耳通、他心通、天眼通及び宿住随念
(宿命通)である。
これらの資質のない者が発した至上願は、無効である。
なぜか?
というのも、偉大なる菩薩は、至上願を発願した後、独自で(師がなくても
己自身で知れる)(実践すべき)諸々の波羅蜜を省察する能力が求められる為、
その為に必要な助縁と五神通を、具備していなければならないからである。
(七)増上行(adhikāra):
これは、完全なる献身の事である。上述の資質を備え、かつ完全に自己の命を
仏陀に捧げられる人が発した至上願のみが、有効である。
(八)極めて強い欲(chandata):
仏陀になりたいという極めて強力な善なる欲。上述の各種の素質を有する人は
また、仏果を得たいという極めて強力な善欲を擁する必要がある。
このように(+強力な善欲に基づいて)発せられた至上願のみが、有効であり、
そうでなければ、無効である。
以下の比喩は、仏になりたいという欲は、どれほど強烈でなければならないか、
という例である。(+ )訳者。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)