布施波羅蜜については、以下のように省察する:
「私的な財産、富、例えば、土地、金、銀、牛、水牛と男女の
奴婢など、そして自分の妻子は、それに執着する主人にとっては、
災難をもたらすものだ。というのも、これらは五欲の目標であり、
多くの人々が、それら(彼ら)に垂涎するし、それら(彼ら)は
(水、火、王、賊と敵)という五つの敵によって奪われたり、
消滅させられたりする。
それら(彼ら)は、争いの元であり、それら(彼ら)は実際には
存在しない。それら(彼ら)を手に入れるため、また保護するために
必ず騒ぎが起きるし、また、他人を侵し害さなければならない。
それら(彼ら)を失えば、たちまち、極度の苦痛に見舞われる。
執着のために、心が利己的な思いで充満している人は、死後、
悪道に生まれ変わる可能性が高い。
このように、財産、富と妻子は、その持ち主に多くの災難を
もたらすから、人に上げるとか、捨てさるのが、そういう事柄から
遠ざかって、安楽へと向かう道なのである。
こういうことから、人々はそれら(彼ら)を捨棄することに
勤めなければならない。
次に、乞う者が物を乞いにきた時、菩薩は以下のように、省察
しなければならない:
「彼は私の親しい友人で、私に対して秘密を吐露している。
彼は私の導師だ。まさに私に対して『あなたは死ぬ時には、
一切を捨棄しなければならない。自分の財産、富さえも
持って行く事はできない』と、教えてくれているのだ。
彼は私の財産を、安全な場所へ持って行く、よき友である。
まるで、死の炎に焼かれる火宅のような世間から、
(+これらのものを)持ち去ってくれる。
彼は、絶妙なる宝蔵館を持っていて、私の財産、富を保管して、
火災から守ってくれる。
彼は私の最良の友だ。彼は私に、布施というチャンスを与える事を
通して、彼は已に、最も傑出し、かつ困難な成就の獲得、すなわち、
仏地の獲得に向けて、支援してくれているのだ。」と。
(+ )訳者。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)