Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-102

ここにきて、一つ考えなければならない事がある。

それは:

布施波羅蜜というのは、本当に実践しなければならないもの

なのかどうか?という事である。

《相応部・具偈品》の中に、一首の偈がある:

”Sīle patiṭṭhāya naro sapañño・・・”ーー「戒を有する

智慧の人・・・云々」。

この偈の中で、仏陀は、もし、人が生まれる時に三因具足(注)

であり、かつ、慧根がすでに成熟しているのであれば、彼はただ

戒・定・慧だけを修すれば、欲愛の網の結び目を解くことができる、

と解説している。

ここでは、仏陀はただ、戒定慧の三学について述べているだけで、

布施を修習することについては、何らの、暗示さえもしていない。

同時に、《清浄道論》全編は、《相応部・具偈品》の上の偈を、

注釈する論著であるが、しかし、その中においても、布施波羅蜜に

ついては、何ら言及していない。

その上、涅槃へ導く八聖道は、ただ戒定慧の道のみで、布施の道はない。

故に、ある種の人々は誤解して、仏陀は、布施を重要な要素とは

見做しておらず、涅槃を証するに、何ら役に立たないものであり、

また、それは、不断に、輪廻における生死の原因を造っており、

故に、布施を修習してはいけない、と言う。

注>三因結生心とは、結生するその刹那の心が、無貪、無瞋、

無痴の三因を、具足している事を言う。

(+ )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)