二、持戒波羅蜜
持戒波羅蜜についていえば、それは大悲心と方法善巧智(=方便)
を基礎とした、善なる身と口における業である。
《論蔵》の定義によると、持戒とは「離心所」と、まさに今善を行おうと
している所の「思心所」である。
その特徴は、身と口が悪い事をしないようにし、それらが善を行うように
する事である。
それのもう一つ別の特徴は、すべての善業の基礎となるという事である。
その作用は、道徳的な堕落を防止し、また、道徳的に瑕疵なきこと、
(+人に)批判されないという、完全なる道徳を獲得する事を
支援する、である。
その結果は、身と語の清浄である。
近因は悪を恥じる(慙)と、悪を恐れる(愧)である。
持戒波羅蜜は、以下のように省察するべきである:
「戒律は、甘露の法水であり、ガンジス河の水を浄化できるだけでなく、
洗い落とせない内心の煩悩を清める事ができる。
戒律は良薬であり、檀香木等を医することができるだけでなく、
貪欲で燃える火を消すことができる。
それは智者の荘厳であり、凡夫の首飾り、王冠、耳飾りなどの装飾品と
は異なる。それは一種の天然の香りであり、四方に広がり、いかなる
状況にもおいても適応する;それは吸引力を持つ卓越した呪文であり、
王室と婆羅門などの貴族、天神や梵天の、尊敬と礼拝を得る事ができる。
それは諸々の天界に通じる階段である。それはジャーナと神通を
修するための方便であり、涅槃城へ通じる大道であり、また、仏、
辟支仏(paccekabuddha)、阿羅漢の、三種類の悟りの基礎に
なるものである。
それは、持戒者のすべての願望を実現することができるため、
宝石や宝樹を(+手に入れたいと)願うより、(+持戒波羅蜜
を実践する方が)より優れている。
(+ )(= )訳者。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)