Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-134

(+慈愛が)波羅蜜のレベルに到達したと言えるのは、拡散した

慈愛が、必ず相手に到達しており、かつ慈愛によるレスポンスが

ある事、である。

慈愛は十波羅蜜に属するだけでなく、同時にまた、40種類の

止禅の内の一つであり、禅の修行者にジャーナと神通を齎す事

ができる。

故に、菩薩と古代の大徳は、ジャーナと神通を証悟するために、

非常に深く、強い定力で慈を修行したのである。

この、波羅蜜が成就した時の状況を明らかにするために、私は、

あなた方に、簡単に、《善人本生経》を説明する。

梵予王が波羅奈国を統治している時、彼は国家を公正に治め、

国王の10項目の任務を遂行した。

彼は、布施をし、五戒と布薩戒を持した。

当時、罪を犯した大臣が国王によって国外に追放された。

その大臣は隣国の憍薩羅国に行き、そこの国王に仕えた。

彼は、憍薩羅王を煽動して、兵を派遣して、波羅奈国を攻撃し、

占領するのは簡単な事だと言った。

憍薩羅王は、彼の提案を受け入れ、実行してみた所、実際、

非常に簡単に、全く抵抗しない梵予王と、その大臣たちを

捕まえる事ができた。

牢獄の中で、梵予王は、憍薩羅王に慈愛を送り、慈心ジャーナ

を証悟した。

その慈愛の力によって、憍薩羅王は、全身が燃えているような

感じがした。

このような苦しみを受けて、彼は、大臣たちに訊ねた:

「私はなぜこのようになったのか?」

大臣たちは答えた:

「陛下、あなたがこのように苦しむのは、あなたが徳行のある

梵予王を囚え、投獄したからです。」

それを聞いて、憍薩羅王は急いで梵予王に会いに行き、

彼に許しを乞い、国を彼に返した。

この物語から、我々は、慈愛はジャーナを証悟するのに、

非常に役に立つ事を、知るべきである。

(= )(+ )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)