Sayalay's Dhamma book

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パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-153

彼は、信心(=確信)のない人が信心を持てるように、怠惰な人が精進力を育成するように、正念のない人が正念を育成するように、浮つきと憂慮の多い人が定力を育成するように、また、愚かで無知で、頭がぼんやりしている人が智慧を育成するよう、奮闘努力、尽力する。

彼はまた、五蓋に干渉されている人には、それらが克服できるように、また、貪欲、瞋恚と怨恨の心、残忍な悪念に圧迫されている人には、これらの圧力が取りのぞけられるよう、努力する。

彼は、彼を支援してくれたことのある人に感謝し、親しげな言葉で彼らにあいさつし、同等かまたはもっと多くの分量によって、彼らに報恩するし、彼らが不幸な目にあったときは、彼らのよき友となる。

衆生のそれぞれ異なる本性を理解し、彼は、彼らが悪法から逃れて善法を育成するのを助ける。彼は彼らの必要と願望を実現するために、彼らに近づく。[これは、彼らと友達になって、彼らが悪法から遠く離れて、美徳を打ち立てるよう支援するものである。彼は四摂法を通してこの目標に到達する。すなわち、布施を受け取るのを喜ぶ人には布施をし、友愛の言葉を聞くのが好きな人には愛語を語り、有益な生活を好む人には、そのような生活(利益ある、善に向かう、すなわち、利行である所の)を(+模範として)示し、他人が彼らを、己自身にそうするようにしてもらいたいと欲する人々には、彼は、平等の心でもって対応する。]

同様に、彼が他人を支援する時、彼は彼らを傷つけることはないし、彼らと争うこともないし、また、彼らを辱めることもないし、彼らに後悔を感じさせることもない。

彼は他人を軽視しないし、わざわざ他人の欠点を突くこともない。彼は人と共にいるとき、自己を高みにおくことはないし、傲慢であることもなく、謙虚でいられる。

彼は、他人に対して優越した態度をとることなく、適切でない時に彼らに会ったりしないし、過度に親切であることもない。

彼は適切な時間と場所を選んで、付き合うに値する善友と相まみえる。彼は、ある人の友人の前で、その人の悪口を言わないし、またはある人の敵の前で、その人を称賛することもない。彼は交流するにふさわしくない人とは、密接な関係を結ばない。

彼は適切な招待・招請を断らないが、かといって、過度に他人の要求に従うこともない。彼は、自分が必要としている分量より多く受け取ることはしない。

信(=仏法への信頼)の功徳を解説することを通して、彼は信心を持っている人を鼓舞し、彼らを喜ばせる。同様に、戒行、勤学、布施と智慧のある人には、彼は、それらの本質について解説して、彼らを鼓舞し、彼らを喜ばせる。

もし菩薩が、ジャーナと神通を成就したならば、これらの力を通して、彼は、(善行を修習することに)怠惰な人に、恐れの気持ちを惹起させ、悪道の恐ろしさを顕現させて、確認させる;彼は信心のない人及び美徳のない人に、信心などが確立できるようにし、彼らが仏法に触れられるよう導く。彼はすでに信心があり、美徳ある人々が、成熟に到達するよう支援する。

このように、菩薩の行戒は、無量の善行の「洪水」のようであり、一世一世毎に、益々増大する。

(以上が、持戒波羅蜜の修習の仕方である)。

(+ )(= )訳者。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>