Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~タイでは有名人

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私はタイではちょっとした有名人です。いえ、別に有名になりたいという願望は、これっぽっちも持っていません。世界の70億人に、自分の名前を覚えてもらい称賛されたとて、どうせ死にますからね、己自身も、残りの69億99999999人も。何より、「八風吹不動」を忘れてはいけません、念のため。

私は、49歳の時に腹部に癌が発見されて、手術を受けました。術後、当時の主治医と抗がん剤に対する意見の相違があり、主治医と少々険悪になった所、主治医の意を挺した看護師がやってきてこう言いました「先生の言う通りにしないと、あなた、明日死にますよ」

その言葉にびっくりした私は、癌ノイローゼというか、「明日になったら、私は死ぬのだ」という、今思えば根拠のない「明日死にますノイローゼ」になってしまったのです(昼間はイライラするし、夜は眠れない)。

退院後半年ほど、この急性のヒステリー症状に悩まされていたのですが、追い詰められた私はなぜか、以前にタイで聞いたフレーズを思い出したのです。「正念あるところ、正定あり」。。

そして、私はそれならば<逆も真なり>で、「正定あるところ、正念あり」も成り立つのではないかと思い、「(正念を失った今)まずは正定に入ろう」と決心しました。

方法は、その時学んでいたマハーシのラべリング方式を採りました。

大根を買ってきて「大根切りたい」「包丁持ちます」「大根切ります」「包丁(を大根に)当てます」「包丁(を大根に)押し込みます」と、己の心の動きと身体の動作について、一分の隙なく、実況中継をやったのですね。

するとなんと、

一瞬にして、正定に入り、

一瞬にして、ノイローゼは、治りました。

正定に入っている何秒かの間に、己の無明・渇愛が映像として、観えたからです(定から出たとき、すでにノイローゼは治っていました)。

前置きはこのくらいで・・・

私はこの体験を、タイの僧侶アーチャン・K(ワッ・パー・スナンタ・ワラナム前住職)に報告しました。

すると彼は、これを小冊子(下は、その表紙)にして、学校に配ったのですね。ですから、タイで私を見かけた小学生は「あっ、本物がいる(ユゥ・ジンジン)!」と言うそうです。子供たちはエチケットを弁えて、小さい声で言うので、直接聞いたわけではありませんが、友人がそう教えてくれました(タイは政教分離ではありません。学校では仏法を教えるし、瞑想を学ぶために先生が生徒を引率してお寺にやってくることは日常茶飯事です)。

f:id:wong0110:20161017083038j:plain写真は順不同になっていますが、一番上が、定に入って、ノイローゼから解放されたの図。二枚目がマハーシ方式で大根を切っている所。三枚目が、退院したものの、ノイローゼを紛らわすために、日長一日TVを見ていた時の図。一番下が、学校に配られた瞑想に関する小冊子の表紙。ブログの写真は、投稿した順に上に来るかと思ったら、逆でした。今後気を付けます。あしからず。

(それにしても、タイの包丁は大きくて、半月形なんですね。)