Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~今更聞けないテーラワーダ(4)

今日は<森林寺院の一日、特に托鉢について>です。

仏陀ご在世の時、出家者は皆、四つの生活必需品を、在家から布施で以て、頂戴して来る形になっていました。

それは、食べ物、衣類(三衣)、薬と住居の四つです。

今でも、テーラワーダでは、食べ物と薬は毎日の托鉢で、衣類は本人の出家の時にお祝いとして、または節目節目のお祭りの時(カティナ祭など)でいただくことができます。

住居は、ジェータ王子が仏陀祇園精舎を布施したように、やはり、在家が住まいを建てて、それを布施するか、または住まいを建てるための金品を布施するかたちになります(土地をドーーンと布施する人もいます)。

この、食べ物を貰いに、毎日托鉢に行く、という事について、私の知っていることを、少々書いてみます。

托鉢は、夜が明けて、自分の掌が見えるようになったら、お寺から出発してよい、ということになっています。

私がタイの森林寺院にいたときは、まっくらな中で僧侶たちがカンテラを持って、居間兼食堂にあつまり、衣服を整え、掌がみえるようになったら、隊列を組んで、市場のある町まで下りて行くようにしていました。

町までは非常に遠いので、帰りは、お寺のトラックが途中まで迎えに行き、<行きは徒歩で大変、帰りはまぁまぁ>という感じです。

ある比丘の話では、托鉢中、おしゃべりするな、妄想するなと言われていて、これはサティの訓練ではないかな、と思います。

僧侶たちは、鉢にたくさんの食べ物を貰って帰ってくると、我々在家の人にも分けてくれました。在家が大勢泊まりに来ていて、お布施の食べ物だけでは足りない時は、寺男が追加の料理を作ってくれました。

仏陀ご在世の時代と異なり、いまではどのお寺にも、台所や食堂といった施設があります。

ビルマのパオ森林寺院では、大きな台所を持っていて、院内托鉢を基本としています。外へ托鉢に行く人は、セヤドーの許可が必要だそうです。

確認したわけではありませんが、朝昼二回、出家者500人が一斉に村に入るのはちょっと無理、ということがあるのでしょう。

モーラミャインにあるパオ本山では、年に二回、近くの村々を回って生米をもらう<托鉢の日>があります。本山の出家者全員が一列に並んで村々をうねうねと進みます。500人くらいいるので、それは龍のように見えます。

在家の人々は、とれたばかりの生米の米俵を玄関先に出して、通りかかる出家者が胸に抱えている鉢に、一匙づつ落とします(私たちは、鉢が米で一杯になると、そばに付き添ってきている在家の持つ大きな袋に落とし込み、空になった鉢を持って、更に村の先へ先へと進みます)。

こうして集めた生米は、寺院の倉庫に収められて、出家者の胃袋を支えます。

生米の托鉢を済ませたその日の夜、パオ・セヤドー曰く「これで(半年)飢え死にする心配はない。皆さん、修行に専念して下さい。」