第二節 如何にして違犯性煩悩を取り除くのか
違犯性煩悩を取り除きたいと考えるならば、持戒して、
道徳・品行を育成する必要がある。
道徳・品行は非常に重要である。
道徳・品行は、一人の人間の心を防護することはできない。しかし、人の行為を規制することができる:してはいけないことであるなら、しない:してよいことであるなら、する(+という風に)。
道徳・品行を、仏教では”戒”という。
多くの人は”戒”を偏見をもって理解して、消極的な禁戒であるとみなし、戒があると、あれができない、これができない、非常に不自由である、と言う。
しかし、”戒”のパーリ語は、sīla といい、行為、習慣、本性、自然などの意味を持ち、通常、道徳規範、行為の基準、よい品徳、良心的な行為などを指す。
”戒”の元々の意味から言って、良き行為、良き習慣を主体的に育成し、良き品徳、良き素養を身に着けることを意味することが、分かる。
一人の人間に、よき道徳人格がある時、他人を害し、利己に走る、また、天に背く行為、他人も己をも傷つける行為をすることがない。
道徳のある人、戒行のある人は、他人を傷つけたり、己の良心に背くようなことをすることがない。
戒はまた、”学処”とも言われる。それはすなわち、規範を学び、規則についての訓練をすることを意味する。
戒は、出家者の学処と、在家者の学処に分けることができる。
出家者の学処は非常に多く、たとえば、比丘の基本的学処は 227条で、その他の細目行為基準は、数えきれないほどである。
ただ、学処が多いとは言っても、最終的な目標はただ一つーー煩悩の断滅である。
相対的に言って、在家者の学処は少ない。
最も基本的な行為規範は 5条に過ぎないが、これを”五戒”(pañcasīla)と呼ぶ。
この五箇条の学処は、五種類の不善な行為から遠く離れることによって達成される。
それはすなわち:
1、殺生から離れる;
2、偸盗から離れる;
3、欲邪行(邪淫)から離れる;
4、妄語から離れる;
5、放逸の原因になる諸々の酒(麻酔品)から離れる。
この五箇条は、人としての、よき人としての、善人になるための、基本的行為に関する規範である。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(4-4につづく)
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<無憂比丘著「南伝仏教キホンのキ」中国語→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>