第五章 調心法について
第一節 入出息念
ここでは、みなさんに、我々の心が特定の目標に専注する事を通して、心の平静と智慧を育成する、三種類の、実践しやすい修行方法を紹介する。
第一番目の方法は、入出息念と言い、呼吸に専注することによって、定力を育成する方法である。
あなたが(+法話を聞いた後に)家に帰ったなら、そして、もし、他に何かの雑用がないならば、少しの時間、半時間か、45分間、または一時間でもよいけれども、時間を作るようにする。
この時、テレビを見ない、PC、携帯電話は切り、電話も出ず、どこか静かな場所を探して、たとえば、居間とか書斎で、座るようにする。
快適な座蒲を用意して、座る。
座蒲の高さは、指4つ分くらいか、またはもう少し高いくらいにして、それによって、臀部が高くなるようにする。
このようにすれば、身体の重心のバランスが取れ、長く座ることができる。座ったら、上半身をまっすぐに伸ばし、腰を曲げないようにし、猫背にならないよう気をつける。
緊張しすぎて、身体が硬くなることがないようにし、体をまっすぐ、自然に伸ばす。
目は軽く瞑り、その後に全身をリラックスさせ、体が、ゆったりと、快適で、自然な、禅の修行にマッチする状態を保つ。
この時、仕事の心配や、日常生活の煩悶、家庭の些末雑事などは、一時的に横に置き、妄想だらけの心を、引き戻す。
過去を追憶しない、未来の計画を立てない、すべての、禅の修行と関係のない事柄、外縁は、全部手放して、(+心が)<今>にあるように、この一刻、己が、己の時間と空間に属するために、(+心が常に)<今>に戻るようにと、決意する。
心・身が共に、自然で、軽やかで、快適な状態になった後、心の念を鼻の頭、人中、または唇の上方の部分、区域に置いて、己の呼吸を覚知するようにチャレンジする。
(+心は)呼吸と一緒に体内に入ってはいけないし、呼吸と共に体の(+遠くの)外側に出て行ってはいけない;呼吸の柔軟さ、滑らかさ、軽ろやかさ、流動性、熱さ、冷たさ、推進性などの感覚に注意を払ってはならず、目で呼吸を ”見て” もいけない。
ただ、心をして、鼻の端、人中という、このあたりを出入りする呼吸を覚知しておれば、それで十分である。
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(5-2につづく)
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<無憂比丘著「南伝仏教キホンのキ」中国語→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>