Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)3-17

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

その時一日中、彼女の心内の奥深い所で、揺るぎがたい願望が生まれた:今日こそ、アチャン・マンの教えを守って、全身全霊で ”仏陀” に集中する日にしたい、という願望が。

夕食を終えた達白は、簡単な片づけをした後、自分の部屋に戻り、誠心誠意、しっかりとした心持で ”仏陀” と黙然した。

落ち着いた気持ちで、15 分ほど一心に念じた所、彼女の意識は、突然、心の内部に落ち込み、安らいで静かな不動の境界の中に凝った。

それはまるで井戸の底に落ちたようであり、身体と心は、安らぎと静けさの中で、消え去ってしまった。

これは、彼女がこれまで経験したことのないもので、それは特別なものであったが、彼女は、何が起きたのかを、知ることができなかった。

暫くすると、彼女は深い定から、少しばかり退出したが、その後に、己自身の死体が、己の眼前に横たわっているのが、見えた。

それを見て達白は不安になった。

彼女ははっきりと、この死体は己自身であることを知った。

というのも、このイメージは、余りにも真に迫っており、生々しく、己は死んだのだということに、疑問をはさむ余地はなかった。

この時、突然、彼女の頭に一つの考えが浮かんで、平静だった境界を打ち壊した:

「私は死んでしまった。それならば、明日の朝、誰が私に代って、出家者に供養をするのだろうか?誰が、私が今夜、座禅の最中に死んでしまったことを、アチャン・マンに知らせるのだろうか?」

しかし、彼女は非常に速くこの考えを打ち消して、心を安定させた。

その後、己自身の運命を受け入れて、己自身に静かに宣言した:

「もし私が死んだというのなら、それでもいいわ!誰でもいつかは死ぬのだし、誰も死から逃げられないのだから。国王だって、いつかは死ぬのだから。」

(3-18につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>