wong0110's diary

中国語で書かれた仏教書(主にテーラワーダ、南伝仏教系)を日本語に翻訳して公開。+日常の心模様の独り言<是誰庵のひとやすみ>。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)3-19

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

達白は、情景の成り行き全体を見ていて、心内は畏怖と驚きで一杯になったが、この出来事を、どのように理解していいか、分からなかった。

アチャン・マンが話し終わると、彼女は困惑した: 

”もし、人が死んで、身体には骨しか残らないとしたら、何によって意識が、回復するのか?”

アチャン・マンは依然として掌の上の ”心髄” を凝視したままで、決して達白の方を見なかったが、彼女の戸惑いには、即刻、応答した:  

”意識は戻ってこなければならない!

意識を伴って戻ってきた心髄は、ここにある。

君の意識が、戻ってこないなどということはありえない。

明日の明け方、君の意識は回復する。” と。

達白は一晩中座禅したが、完全に、己自身の死体のジャーナの中にいて、黎明が来たとき、心はようやく、サマーディから退出した。

彼女は知覚を回復した後、頭を巡らして、ベッドの上の身体を見てみたが、己が死んではいないことが知れて、ホッと一息ついた。

彼女は完全に、日常生活のレベルの意識に戻り、生きている事を歓ぶと同時に、昨晩発生したことを振り返り、禅の修行の時に、眠ってしまった上に、一晩中、夢を見ていたと、自分を責めた。

アチャン・マンは失望するに違いない、と思った。

当日早朝、アチャン・マンは托鉢の為に、達白の家の前を通ったので、達白は食べ物を鉢に入れて布施をした。

彼は最初、彼女を不思議そうに眺めていたが、その後に微笑んで、そして、食事が済んだ頃、自分に会いに来るようにと、彼女に伝えた。

達頌は、娘を連れて、よく知っている山道を歩いて、アチャン・マンの住んでいる場所に行った。

どうしてアチャン・マンが、彼女に会いたいのか、理解できなかったので、少しばかり気持ちが重かった。

達白は、黙って父親について歩いたが、頭の中は、昨夜の出来事で一杯で、禅の修行の時に眠ってしまった自分が恥ずかしかったし、それをどのようにアチャン・マンに伝えていいのか、困っていた。

彼女はどこかに隠れてしまおうと思うのだが、どこに隠れていいのかわからなかった。

彼らは二人で、出家者が仮住まいをしている場所まで来たが、達白は、少し用事を思い出したと言って、水辺に行き、女性たちに交じって、水を汲んだ。

アチャン・マンは、達頌が一人でやってきたのを見て、訝りながら、達白はどうしたのだと聞いた。

達頌は、川べりに娘を迎えに行き、アチャン・マンの所へ連れて行った。

達白は緊張しながら、坂を上ってきて、アチャン・マンに三拝したが、彼女が息を整える間もなく、アチャン・マンは聞いた:

”君、昨夜の禅の修行は、上手くいったのかい?”

彼女はしどろもどろになりながら、答えた:

”アチャン、全くもってだめでした。

私は、念仏を 15 分くらい称えた所で、深い井戸に落ちたようになり、その後は、寝て仕舞いました。

一晩中夢を見ていて、朝になって目が覚めました。

禅の修行をしっかり実践しないなんて、自分自身にがっかりしています。あなたは私の事を、怠け者だと言って叱るでしょう。”

ここまで聞くと、アチャン・マンは気持ちよさそうに笑いないが、本人に直接訊ねた。

 ”教えておくれ。

君はどんな風に眠ったの?

どんな夢を見たの?”

達白が昨夜の出来事を伝えると、アチャン・マンは大笑いして、嬉しそうに言った:

”それは寝ていたのじゃない!

夢をみていたのじゃない!

君が体験していたのは、静かな、調和のとれた境界で、サマーディまたは定とよばれるものだ。

この体験、境界をしっかり覚えておきなさい。

君が夢だと思ったものは、実際は、深い定の中に自然に出現した禅相だ。

もし、別の日に、この種の境界になったら、リラックスして、それが自由に展開するようにし、心配したり怖がったりしてはいけない。

怖がる必要がない事を、覚えておきなさい。

しかし、禅の修行中に浮かび上がる、如何なる現象にも、鋭く気づいているべきで、明確に了解していなければならない。

私がここにいるかぎりは、君が傷ついたりすることはないが、今日から君は、禅の修行の時に見た禅相を、どんなものであろうとも、すべて私に報告しないなければならない。”

(3-20につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>