Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~怒ってみた

仏教の啓蒙本で、よく『怒ってはいけない』という題のものがあるのですが、私はそれらの本を、あえて読まない。

それは余りにも正論で、先に理想を掲げて、無理やり怒らないように我慢する、という事は、私にとっては、偽善だから。

私は長い事 イエスマン(ウーマン)でした。

苦しかったなぁ、その偽善。

仏教は慈と悲を説きますが、決して、イエスマンを求めてはいません。

うわべの優しさで苦しんでいる人は、原点に戻って、己の本心を見つめ、自分の中にある怒りを率直に、認めることです。

仏陀だって、お弟子さん達が争いを起した時は、悲しかったのか、洞窟に籠りました。

一人の横暴な弟子(シッダッタ王子が宮殿を出る時に乗った白馬の御者)に関しては、自分が般涅槃した後、「サンガ全体でシカトして良い」と遺言しました(彼は、仏陀以外の人の言うことを聞かないから)。

どんなことにも我慢しなければならない、というのは、業の本質をよく理解した人にはできるでしょうが、凡夫はできません。

そこは認めて、自分なりにバランスを取ること。

たまには「怒って」もいいのではないですか?

(勿論、正念正知を鍛えて、すでに出た怒りは、即刻断じ、いまだ出ない怒りは出ないようにする、のが理想です。これが出来れば、自利&利他同時、になります。)