<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
雨季が終わろうとしていた。
メーチ・ケーウは、安居が終わった後の、己の身の処し方を考えると、どうしていいか分からず、極度に苦しんだ。
彼女は全くもって、二度と再び、結婚生活に戻りたくなかったが、娘の幸福を、深く願ってもいた。
彼女はちびっこケーウと引き続き、親しい関係を保ちたかったし、母親の責務を果たし、彼女を教育してやり、彼女を育てたかった。
しかし、ちびっこケーウはまだ 10歳で、余りに小さくて、母親と一緒に、お寺で過ごすのは、無理であった。
その上、彼女はすでに出家していて、日常生活の必需品のすべては、お寺からの配給に頼っており、そんな少しばかりの物資では、娘を育てることは、できない相談であった。
メーチ・ケーウは慎重に、何かいい方法はないものかと、何週間も考え続けた。
そして、ゆっくりと、一つの考えが纏まっていった;
彼女は、家庭とお寺の生活の両方を、兼務することができる。
昼間は家にいて、母親となり、妻となり、世俗の義務を果たす;
夜には寺院で禅の修行をし、引き続き、道業に精進する。
この考えは荒唐無稽であったし、現実的でもなかったが、しかし、彼女はそれらの事は気にせずに、まずは試してみよう、と思った。
前に約束してあった通りに、メーチ・ケーウは、雨安居の最後の日に、家に戻った。
しかし、彼女は白い三衣を脱がず、戒も捨てず、メーチの身分を保ったまま、黒いスカートとブラウスで白い三衣を覆い、己の企みを隠した。
彼女は午前と午後は、ちびっこケーウと共に家事に勤しみ、その後に夕食の支度をした。
彼女は、家人が夕食を済ませた後に、夜の暗闇に紛れて、寺院に戻るつもりであった。
ちびっこケーウと布麻が、食卓に向かって食事をしている時、彼女は傍で世話をしながら、己は決して食べないで、メーチの不非時食戒を守った。
メーチ・ケーウのこのような態度は、布麻を怒らせた。
彼は彼女に、いったいどういうつもりなのかと詰問し、彼女に座って食事するように、命令した。
メーチ・ケーウは拒否した。
妻が言うことを聞かないのを見て、布麻は手を挙げた。
メーチ・ケーウは退いて、階段を駆け下ったが、布麻が追いかけてきた。
その時、ちょうどメーチ・ケーウの兄である英が道端にいて、布麻を押し止め、喧嘩をやめさせようとして、あれこれ宥めながら、メーチ・ケーウを家から遠ざけた。
布麻は怒り狂い、メーチ・ケーウと離婚すると咆哮したが、彼はまた、もし、メーチ・ケーウが財産を半分欲しいと言ったならば、最高裁まで争ってやると吼えた。
メーチ・ケーウは、暗くなった空の下を、急いで村を通り過ぎ、お寺に向かった。
世俗生活の心労と、苦難に疲れ果てた彼女は、その場で、もう決して、二度と還俗しないと、決意した。
(4-13につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>