Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)5-22

   <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

その日の深夜、メーチ・ケーウは、サマーディの深い定から出て、意識流がゆっくりと、身体の各部分に際限なく散らばるのを感じ、それと同時に、最後には、身体全体を感知するのを、体験した。

この時の彼女の覚知は、身体の、偏見的な傾向の影響を受けず、ただ、如実に、色身の座っている姿勢のまま、執着を離れた覚知は、直接的な直観に依って、色身の内部が、まさに敗壊(=壊滅する)しつつある事を知った。

これはもとより、生(=生まれる事)と共に備わった過程であり、最後には、身体を死亡させ、分解させるものである。

彼女の清らか、かつ明晰で、また、澄み切った心は、身体の腐敗して行く様、それが自然の成り行きにまかせて、最終的に避けられない結果へと、向かうのを見た。

腐敗の過程は、体腔の深い場所から始まり、ゆっくりと、その他の部位に、広がって行った。

彼女は、ただ観察するだけで、思考も想像もせず、覚知の範疇において、身体の分解する過程が顕現するのに、任せた。

過程の全体は、当然のように、非常に速く、勢いを持って、展開した。

メーチ・ケーウは、頭部から観察を始め、注意力が、それ自身に任せるままに、ゆっくりと、死体全体に浸透して行くようにし、そのことによって、腐乱した映像が、更に明晰になった。

この時すでに、死亡と分解に対しての考えについて、智慧が全神経を傾注している事を、直接知れたために、全体の活動は、画面となって、自然に顕現した。

彼女は色身の中の死体が、膨張し始め、色がゆっくりと変化し、皮膚が黄色くなり、その後に突然、どす黒くなるのを、感じた。

皮膚は、身体の膨張に伴って、パンパンになり、最後には裂開して剥落し、腐乱した筋肉が露出し、膿が溢れ、大群の蠅がやってきた。

死体は益々臭くなり、これを嗅げば嘔吐したくなり、彼女は、受け入れがたいほど、気分が悪くなった。

この時、蠅がその上で卵を産み、次に蛆虫が出現し、裂けた皮膚と膿の上を所構わず這いまわり、暫くすると、死体全体が、一塊づつの蛆虫で、一杯になった。

蛆虫がお腹いっぱい食べ終わると、五臓六腑と筋肉は、すべて食べ尽くされてしまっていた。

骨を連結する組織が無くなったので、骸骨は、支えを失って、崩れ落ちた。汚い骨、残りの腐肉、交錯する腱と軟骨が、ごちゃごちゃと一塊になった。

これらの残骸は、引き続き分解され、その結果、骨は地面に散らばり、骨格は、完全にバラバラになった。

一日また一日と経って、太陽に晒され、雨に打たれ、骨の上についていた組織の残渣もまた、剥落し、冷たく白い骨だけが、残された。

次に、骨もまた分解されて、粉々になり、最後には、頭蓋骨はこちら、骨盤はあちらという風に、いくつかの大きな骨が、バラバラと残った。

最後には、この大きな骨さえも粉々になり、彼らの根源ーー地大に戻って行った。

突然、地大も消失し、一切合切が消失して見えなくなり、ただ、四方に光芒を発射する、透明な覚知だけが残った。

存在感が、ゆっくりと、光明なる覚知の中で消えてなくなり、自我(=我ありという感覚)と、周りの感覚も、一緒に消えてしまった。

(5-23につづく)

   <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

<菩提樹文庫>まで。ご協力、よろしくお願いいたします。

<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>