<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
経行道の傍には、天を突く大木と、湾曲して垂れ下がった竹によって陰が作られていた。道の端には、細長いトウトチノキがあり、メーチ・ケーウはこの木の下に、簡素な竹のプラットフォーム(=縁台)を置き、午後の炎天下、ここで休んだり、座禅したりした。
ここは、彼女の一番好きな場所だった。
このトウトチノキは、マホガニーの一種で、幹は硬質で、鮮やかな黄色の花は、人々を魅惑した。
花の季節には、木全体が黄色くなり、落花は、禅修行の為に設えた縁台が、見えなくなる程、散り敷いた。
トウトチノキは、硬さと美しさを兼ね備え、強さと輝きの象徴でもあり、それは、メーチ・ケーウの心模様でもあった。
ある日の夜、メーチ・ケーウは、一つの禅相を得た:
一面の湖の、広々とした風景が、彼女の心眼の中に浮かび上がった。
湖には、金蓮花(=キンバイソウ)が満開で、水面に浮いている花は、牛車の車輪くらいの大きさ、薄い花弁は、柔らかいスポークのように、光を放った;
また、別の金蓮花は、蕾のまま、花弁を空に向かわせ、藍色の湖面から高々と天を突き、それは、まるで、金色の半円の屋根を持った、廟のようであった;
また別の金蓮花は、清らかで涼しげな湖水の下すれすれに浸り、それらの光彩が湖面に揺れて、まるで、金色の風が、吹いている様であった。
湖水は澄んで清らかで透明で、湖底に堆積して波形になった泥が、はっきりと見えた。
別の金蓮花は、花びらを湖に散らし、花弁は水中に落ちて光を放ち、香は、空中一杯に、満ちた。
メーチ・ケーウは、畏敬の念をもって、心静かに見ていたが、この時、一羽の小さなホオジロ鴨が空から飛んできて、静かな湖面を掠めて水中に降り立ち、金蓮花の叢の中で、戯れ始めた。
鴨は、水面に浮かんだ花びらを啄み、それを優雅に回転させながら、飲み込んだ。
四ひら食べた後、鴨は満足し、そこに浮いたまま動かなくなった。
(5-28につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」Dhammavamsa Publication
中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>