Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「メーチ・ケーウの物語」(翻訳文)6-8

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 

彼女は、彼女たちに、以下のように訓戒した。

話しをする時は、根拠のある事柄を話し、適切でない事柄は話さない。

一切の苦難を耐え忍び、禅修行に励み、己の、本来の面目を探し求める事に奮闘し、修行者の模範とならなければならない。

間違った因縁、失った因縁に懊悩してはならず、未来の果報を期待してもならない。

これらの想いは、己を欺瞞しているに過ぎないが故に。

彼女は、彼女たちに警告もした。

怠惰な習慣と闘争する事に奮闘し、安易に、枕に負け去ってはいけない。

一人ひとり、己の心念を、子細に観察しなければならない。実相は、心の中にあり、あなた方はそれを探し出す為に、尽力しなければならない。

彼女は、これらの弟子に、仏世尊の教えを、誠心誠意、信受するように要求すると同時に、彼女たちに、己の歩むべき道を追求しているその時、その一歩一歩は、小心翼々でなければならない、と勧め励ました。

道は各々の心の中にあるが故に、一人ひとりは、皆、己の心の中に、離苦の道を、探さねばならない。

修行は怠けてはならず、精進しなければならない。

道心は堅固で、揺れてはならず、道果を証悟するまで、諦めてはならない、と檄を飛ばした。

毎回、誰かが怠けているのに気が付くと、彼女は彼女たちに、己の修行を点検するように、要求した。

”あなた方の中の多くの人は、すでに、私と非常に長い時間、共に過ごしています。

しかし、何を成就しましたか?

あなた方の、目の前の事柄に対する執着は、成就されたものより、比べる事が出来ない程、多い。私の言う事を信じないのであれば、己に問うてごらんなさい:

自分は、どれほどの執着を、取り払ったか?

天人であっても、生まれてはまた死に、死んではまた生まれますが、それは、あなた方も同じです。天人は、己の変動不居の生命に、執着しているのです。

まさに、この生への追求が、生きていたいという願望への追求が、一切の衆生をして、長い夜における、苦海輪廻に引きずり込ませるものでなのです。

”我々の修道は、決して、毛一筋程の気の緩みを許しません。あなた方は、今、道徳を育成し、真正なる楽しみを追求しています。

我々の内の大部分の人は、老幼に関わらず、共に住まいして、共に修行します。

各人は、出家の、簡素で素朴な生活の辛苦を、耐え偲ばなければなりません。

だらだらと怠けてはならないし、人を恨んでもなりません。

いつどんな時も、慈悲の心で対応するべきです。

己の修行仲間には、優しく謙虚であるべきで、先輩・指導者の教えには、感謝の念をもって、受け入れなければなりません。

私が、あなた方の言論や、行いを批判するのは、あなた方の成長の為であり、あなた方の事を思ってしているのです。

”あなた方は、指導者と、すべての修行仲間を敬わなければなりません。

新参のメーチは、古参のメーチに礼拝し、それは、たとえ、あなたより、一日早く出家したメーチに対しても、そうするべきです。

一人ひとりがサンガにおいて、先輩を敬い、後輩は謙虚で、という約束事に喜んで従う事ができさえすれば、皆は、縁に従って、共に暮らすことができます。

このようであれば、慈と悲と喜が、心内に育成されて、彼此お互いに影響され、そして、それが、すべての衆生へと伝わって行きます。”

アチャン・マハブーワは、よく道場を訪ねて来た。

彼は、多くの場面で、メーチ・ケーウを讃嘆し、彼女の事を、尼僧衆と在家者の、全き模範である、と言った。

実際、すべての仏教徒は、メーチ・ケーウの修行に、追随するべきである。

アチャン・マハブーワは、メーチ・ケーウの弟子たちに、己の指導者の徳行、彼女のあの無畏なる勇気と祈願の力、また、彼女の無上の智慧と悲心、それらが、彼女をして、精進努力に向かわせ、修行に打ち込ませ、最後には、死界の無い、絶対に二度と再び、墜落することのない功徳をば、証得することに成功した事に、しっかりと思いを致さなければならない、と激励した。

メーチ・ケーウは、正等正覚仏世尊の教えを守り、苦と楽を乗り越えて、世間からの出離を、究竟成就したのである。

(6-9につづく)

    <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「美琪喬ーー一位阿羅漢尼修道証果之道」 Dhammavamsa Publication 

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>