Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵のひとやすみ~小心翼々

「メーチ・ケーウの物語」を翻訳していましたら、<小心翼々>という言葉に、出会いました。

<No6-7>の中にある文です。

「修行の道を歩む人は、<小心翼々であれ>」と、メーチ・ケーウは言うのです。

私たち仏教徒の内、本気で悟りたいと願っている人は、優秀な(と自分が思っている)指導者を見つけると、つい、嬉しくなってしまいます。

そして、その人の言葉を、何でも鵜呑みにしてしまうようになります。

でも、本当に大事なのは、己のリアリティ、そこを踏み台にして、出発する事です。

私は35年ほど前、一年に一度、タイの森林寺院に出かけて、南伝仏教を学び始めました。

「多少は、お布施をせねばなるまい」くらいの常識は持っていましたが、私の育った実家にそういう習慣がなく、父母もそのように教育をしてくれませんでしたから、このお布施を、なかなか出せなかったのを覚えています。

それで有体に、アチャンに訊ねた所「自分の出来る範囲でやってみて下さい」「布施を出した後で『あっ、出し過ぎた。返して欲しい』と後悔するのが一番いけません」と教わりました。

大言壮語する指導者について行って、大変な目にあった人々がいる事は、皆様の記憶に新しいかと思います。

己のリアリティーに立脚して、己のできる事とできない事。ちょっとだけ背伸びして、頑張ってみる事。

私のリアリティーが一番正しいのだ」と思うのも我執ですから、ここは少しずつ打ち壊す必要がありますので、上記のトライアングルの中道を行くのが良い、と私は思っています。

だから、修行は小心翼々に。

私の考えていた事を、メーチ・ケーウが言葉にしてくれました。

小心翼々・・・我が道を行く。