Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

カルマ論について

カルマは、日本語では業(ごう)といいます。

その意味は、人間一人ひとりの心には、ある種の癖があり、その癖がその人の行動に、ある種の方向性を持たせ、その行動の方向性によって、人生が、幸せにも不幸せにもなる、という考えです。

これは仏教でも言われますが、ヒンズー教でも言います。

そして、ヒンズー教では、カルマ論を利用して、四姓差別制度を維持してきました。

すなわち、あなたが今アンタッチャブル(奴隷、奴婢)で、つらい生活を送るのは、過去世のカルマのせいであって、今世で相応の罰を受けているのだ、という訳です。

しかし、仏教徒はこのようにカルマ論を、悪用してはなりません。

仏教のカルマ論は、

「あなたの心の癖は治せます。人間に生まれた今こそ、その心の癖を治しましょう。そうすれば、今すぐに、または来世も、より生きやすくなるでしょう」

というものです。

仏教徒を自認するなら、衆生に対する、同甘共苦の慈・悲がなければなりません。

カルマ論で人を脅すのは、慈でもなければ悲でもありません。自戒すべきです。

        <緬甸パオ森林寺院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay>