<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>
(以下の翻訳文は、福岡ダンマセンターの法話会に供する為の資料です)
仏法における遺産には、二種類ある。
それぞれ、善の遺産と、悪の遺産である。
継承者にも、二種類ある。
善の継承者と、悪の継承者である。
ここにおいて、私は《中部》、《根本法門品》、
《法嗣経》の、根本的な教義を説明する。
「比丘たちよ。汝らは、我が法を継承するべきである。
私の財産を継承してはならない。
私は汝らに慰めて、願って言う:
『私の弟子たちは、私の法を継ぐのであって、
私の財産を継ぐのではない。』」
この経文の意味は以下の通りである:
仏陀の遺産は「財の遺産」と、「法の遺産」の二種類がある。
「財の遺産」には三種類ある。
それは:
(一)「因縁財」
(二)「世間財」
(三)「輪廻財」である。
食べ物、衣服、住居、医薬などの利益(=己にとって良いもの)は、「因縁財」と言う。
世間的な名声、荘厳、尊厳、権力、世間的地位、教師、国師、部長、富豪で権勢のある者、従者を擁する者、これらは皆、「世間財」である。
楽しい輪廻、たとえば、比較的高位の地位に輪廻する、裕福な家庭に輪廻する、欲しい物はなんでも手に入る環境に輪廻する、これらは皆「輪廻財」である。
「法の遺産」に関しては、私はすでに説明を終えた。
仏陀はすでに予見した。
彼が涅槃に証入した後、仏法はこれら三種類の「財の遺産」の極端な成長・強化によって圧倒されるであろうと。
それはちょうど大海の中の島嶼が、三度の洪水で水没してしまうようなものである。
故に、仏陀は以下のような警句を残したのである:
「比丘たちよ。汝らは、私の法を継承すべし。
私の財を継承してはならない」。
「憐憫」(Anukampā)は、仏陀の憂慮と心配を表している。
仏陀が憂慮したのは、大海の洪水が顕現する時、島の上に住む人々は、洪水の衝撃により、四方八方に漂流する。
「財の遺産」が生起して、拡張する時、仏法における弟子たちは、侵入されて、行くあてが無くなり、その結果、「法の遺産」の継承は阻害される。
故に、仏法(ママ)に以下のような警句が残された:
「私の弟子たちよ。私の法を継承するべきであって、私の財を継承してはならない。」
(10-9につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、
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<「37道品ハンドブック」Ledī Sayādaw著 中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>