Sayalay's Dhamma book

テーラワーダ系仏教書の翻訳は2019年夏を持ちまして終了致しました。これまでに翻訳しました内、23冊は<菩提樹文庫>にてPDF版を読むことが出来ます。今後、翻訳文を掲載する予定はありませんが、偶には<般若の独り言>にて日常の心模様を独白します。学問的な議論ではなく、ただの雑談、独り言です、お楽しみ頂ければ幸いです。2018年5月25日クムダ・セヤドーより初心者瞑想指導の許可を得ました。 初心者の疑問にはコメント欄にて対応します。

般若の独り言~ワランチャリの風鈴

今、私の手元に、タイの風鈴が、一個あります。

粘土でかたどった、素焼きの犬が 5匹、天蓋から細い紐で結ばれてぶら下がっている、素朴な風鈴です。

これは、私が35歳の頃、タイのカンチャナブリにある中高一貫校で、日本語教師を務めた時に、中学生だったワランチャリが、私がプレゼントした日本語の絵本のお礼にと、贈ってくれたものです。

当時、私は、この学校の高校生に日本語を教えていて(彼らが親善大使として日本に行くため)、その高校生のお兄さん、お姉さんたちに交じって、私の授業に参加していたのが、中学生のワランチャリ・・・そして、生徒の中では、彼女が一番優秀で、難しい日本語をあっという間にマスターしてしまいました。

彼女と親しくなって、なぜこれほど(親善大使でもないのに、毎日日本語教室に来て)日本語を学びたいのかと尋ねると

「私は日本が好きなのです。

父は、私に軍人さんになれと言うけれど、私はなりたくないのです。私は、日本文化の研究者になりたい」

とさめざめと泣くのです。

その時、私は、中学生でも、これほどしっかりした女の子がいるのだと、感心を通り越して、感動したものです。

私は日本に帰国後、日本語の絵本を一冊買い求めて、彼女に送っただけで、それ以上の、何の手助けもできませんでした。

今頃、ワランチャリは 47、8歳、結婚してよき妻、よき母親になっているでしょうか?

軍人以外の、何かの職につく事ができたでしょうか?

 

私は15歳のころ、禅宗で出家する事を考えていましたが、インターネットのない当時、どこに行けば出家させてもらえるのか分からないまま(当時は、山田無文師が好きでしたが)、普通高校へ進学し、働くために東京へ出て・・・結婚して、子供が出来て、育児と仕事の両立に忙殺され・・・結局、テーラワーダで出家してサヤレー(一時出家でない)になれた時には、もう60歳を過ぎていました。

ワランチャリ・・・夢は叶います。

あなたが夢をあきらめない限り。

日本には観光でもこれますし、今は、社会人留学生にだってなれる時代です。

日本のどこかで、子供を連れたワランチャリに会えるかも・・・65歳になって、若き日に描いた夢をかなえた老僧尼の、もう一つの夢なのです。

     <緬甸パオ森林寺院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>