Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」6-32(186/430)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

19、制限色(paricchedarūpa)または空界

《阿毘達摩蔵》において、空界(ākāsadhātu)は、空間の事を指すのではなく、人々が、それらを、個別の個体であると、識別する事ができる様な、諸々の色聚の間の間隙の事をいうのである。

空界の特徴は、色の限界を画定することである;

作用は、色の際を顕示する事;

現起(現象)は色の限界または隙間;

近因は画定された色。

それがあるが故に、人々ははじめて、この様に画定された色を:

「これはあれの上にある、下にある、周囲にある」と言えるのである。

表色(viññattirūpa

表色は、己自身の思想、感受や態度を他人に表現してみせ、他人に知らせる方法である。二種類の表現方法がある、すなわち、身表と語表である。

20、身表(kāyaviññatti)

身表は心生風界(風界が最も顕著な心生四大)の形態と変化であり、身体を移動せしめる;

この形態と変化は、俱生色身の硬さ、支持と移動の縁である。

その作用は、己自身の意念の表現である;

現起(現象)は身体の移転の因;

近因は心生風界。

「身表」と言われるのは、それが身体の動作が、意念の表現の因になっているからである。

前に移動する等の(+動作が)生じるのは、時節生等の四種類の色法の移動(+の故)である事を理解しなければならない;

これらの色法と心生色法が結びついて、身表によって移動せしめられる。

この事は、心生色法が移動する時、時節生、業生及び食生色法もまた移動する事を意味しているが、というのも、それらははそれと結合しており、(+その様子は)河の中の牛糞の様である。

それはどの様な形態と変化であるか?

それは風界の能力が最も顕著な心生四大の形態と変化である。

その能力とはどの様なものであるか?

それは心生風界の特別な変化であり、身体の移動を引き起して、人々の意念を顕示する。

21、語表(vacīviññatti)

語表は、心生地界の形態と変化であり、音声を発することができる。

この形態と変化は、色取蘊(ここにおいては音声を発する器官を指す)が心動する縁である。

それの作用は、意念の表現;

現起(現象)は言語の因;

近因は心生地界。

「語表」と呼ぶのは、それが音声を通して意念を表現する因であるからである。

森林の中で、樹木にぶら下げた牛の頭蓋骨を見た時、それが「ここに水がある」と表示しているが如くに、身体の揺れや音声に注意を向けた時、意念はすでに表現されたのだと言える。

それは心生地界の特別な変化であり、人々の意念を顕示する音声を生じせしめるのである。

22、色軽快性(rūpassa lahutā)

色軽快性の特徴は、心生、時節生または食生真実色法の不遅鈍である;

作用は、この三種類の色法の沈重を取り除く事;

現起(現象)は軽快に移動する事;

近因は、この三種類の軽快なる色法。

23、色柔軟性(rūpassa mudutā)

色柔軟性の特徴は、心生、時節生または食生真実色法の不硬(=硬くない事);

作用は、この三種類の色法の硬さの除去;

現起(現象)は身体の一切の作業に対抗しない事;

近因は、この三種類の柔軟なる色法。

24、色適業性(rūpassa kammaññatā)

色適業性の特徴は、(心生、時節生または食生真実色法が)身体の作業に適合する所の適業性である;

作用は、不適業性の除去;

現起(現象)は色法が軟弱でない事;

近因は適業の色法。

この三種類の色法は、同時に生起する。軽快性は移動が簡易な事を言う。

軽快な色法は、非常に速く移動することができる。柔軟性とは容易に湾曲し、ひねり、または変形することである。

柔軟な色法は、容易に変形して新しい形状になることができる。

適業性は運用が容易である事。適業の色法は、容易にコントロールと調整ができる。

それは迅速に運用者の願望に沿い、多くの努力を必要としない。

25、色集積(rūpassa upaccya)

色集積の特徴は建立である;

作用は色法を最初に生起させる事;

現起(現象)は始まり;

近因は成長した色法または生じた色法。

26、色相続(rūpassa santati)

 色相続の特徴は、[持続して不断に]生起すること;

作用は結縛;

現起(現象)は間断なく;

近因は結縛された色法。

この二つの語彙(=色集積と色相続)は、色法の生(jāti)を指すが、しかし、方式が異なるため、また指導の方式に基づいて、《法聚論》の中における「義釈」は、それらを「集積と相続」と分けている。

しかし、その含意に差異がない為、この二つの語彙の義釈を:

「諸々の根の建立を色集積といい、色法の成長は色相続と言う。」

としている。

註釈(《殊勝義註》)では、「その生起を『建立』といい、増長を『集積』と言い、発生するのを『集積』と言った後に、以下の様に比喩を与えている:

建立の生起とは、河床において掘った洞、穴から水が流れ出してくる様なものである;

集積の増長とは、当該の洞に水が満水に溜まる事;

相続の発生とは、水が満ちて流れ出す事。

建立とは根門の事である。

成長とは、根門以外の、その他のものが出現すること。

相続とは根門以外の、其の他のものが、重複して生じる事。(《清浄道論》

27、色老性(rūpassa jaratā)

色老性の特徴は、色法の成熟と老化である;

作用は壊滅へ向かう事;

現起(現象)は壊滅、または有情または自性は未だ消失していないものの、新性を失っている様子。稲の成熟の様に;

近因は、成熟または老衰しつつある色法。

上に述べた事柄は、歯が損壊するなどの、変化によって顕現する老化を言う。しかし、見る事の出来ない変易する非色法に関しては、それらは隠匿された老化と呼ぶ。

地、水、石、月と太陽(+の変易)はすなわち、不断の老化と呼ばれる。

28、色無常性(rūpassa aniccatā)

色無常性の特徴は、色法が無余に滅尽する事である;

作用は色法の消滅;

現起(現象)は色法の壊滅と滅尽;

近因は滅尽した色法。

これは、相、作用、現起(現象)と近因によって色法を識別した(+場合の説明である)。

次に、私は、相などに基づいて、どの様にして名法を識別するのかを解説する。

(6-33につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等ほぼ原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>