Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」6-51(230/430)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

13.2 思惟智

五取蘊及びそれらの因は、行法と呼ばれる;

それらは観智の目標である。

あなたは、それらの刹那生・滅を明確に知見する為に、それらの無常・苦・無我の本質を観照しなければならない。

もし、この一点を見ることができたならば、あなたは、それらの因と縁の生・滅を、観照することができる。

13.3 生滅随観智

13.3.1 因縁生と刹那生

私は結生色蘊の例をとって、どの様にして因縁生を観照するのかを説明する。

あなたはまず先に、前に述べた様に、過去の五因:無明、愛、取、行および業を識別しなければならない。

次に、結生刹那の30種類の色法を識別する。

もし、過去の五因を見ることができたならば、というのも、業力と結生時の業生色法の間の因果関係をみることができたならば、あなたは以下の如くに、因縁生を観照しなければならない:

1、無明が生起するが故に、結生色蘊が生起する。

2、愛が生起するが故に、結生色蘊が生起する。

3、取が生起するが故に、結生色蘊が生起する。

4、行が生起するが故に、結生色蘊が生起する。

5、業が生起するが故に、結生色蘊が生起する。

次に、結生色蘊の刹那生を観照する。

これを「刹那生相」(nipphattilakkhaṇa)と呼ぶ。

色蘊の生起を見た人は、この相を見たのだと言える。

あなたは同様の方法によって、その他の蘊を観照しなければならない。

良師の下で、当該の修行を実践することを忘れてはならない。

六門心路過程の中の、一つひとつの心識刹那には、みな五蘊が含まれる。

あなたは逐一、一つひとつの蘊の因縁生と刹那生を観照しなければならない。

この様に因縁生を観照した後、次に、縁起第一法の方式に従って、因縁生を観照するが、それは以下の通りである:

1、無明が生起するが故に、行が生起する。

2、行が生起するが故に、識が生起する。

3、識が生起するが故に、名色が生起する。

4、名色が生起するが故に、六処が生起する。

5、六処が生起するが故に、触が生起する。

6、触が生起するが故に、受が生起する。

7、受が生起するが故に、愛が生起する。

8、愛が生起するが故に、取が生起する。

9、取が生起するが故に、業有が生起する。

10、業有が生起するが故に、生有が生起する。

次に、一つひとつの縁起支の刹那生、すなわち、無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、業有と生有の刹那生を観照しなければならない。

13.3. 2 因と果の無余滅尽

諸々の行の因縁生の観照(+の仕方)を教えた後、仏陀は開示して以下の様に言う:

「身の壊滅の現象を観照することに安住する」

その意味は:彼は、五因が無余に滅尽したが故に、五蘊もまた無余に滅尽するのを観照しなければならない。

この種の観智は因縁滅智見(paccayato vaya ñāṇadassana)というが、すなわち、因と果の滅尽を照見することのできる智慧の事である。

どの様な時、無明、愛、取、行及び業の五種類の主因は、無余に滅尽するのか?

仏陀の教えに基づけば、煩悩は、あなたが阿羅漢道を証悟した時に、無余に滅尽するが故に、般涅槃の後は、如何なる果報も生じることがない。

あなたの阿羅漢道は、五因を無余に滅尽する。

五因が無余に滅尽するが故に、般涅槃の後、一切の五蘊は、無余に滅尽する。

あなたはこの種の壊滅を知見できる様、チャレンジしなければならない、というのも、仏陀は《大念処経》の中において、以下の様に開示して言うが故に。

「彼は身の壊滅現象を観照する事に安住する。」

あなたはこの「身」とは、色身と名身であることを忘れてはならない。

今、あなたは未だ阿羅漢ではない。

あなたはいつになったら、阿羅漢道を証悟するであろうか?

今生であるか、未来世であるか?

もし、あなたに充分な波羅蜜があり、かつ持続的に修行に精進するならば、あなたは今世において阿羅漢道を証悟することができる。

今世で証悟したとしても、刹那生・滅の角度から見ると、現在からみれば、その時をば、未来と呼ぶことができる。

もし、あなたが来世に阿羅漢道を証悟するならば、来世はあなたの未来である。

あなたが阿羅漢道を証悟する、あなたの見たいにおいて、無明、愛、取、行及び業という、この五種類の因は、無余に滅尽するであろう。

この五種類の因が無余に滅尽するが故に、般涅槃の時、五蘊は無余に滅尽するのである。

あなたは二種類壊滅を照見しなければならない。

この種の観智は、壊滅智見(vaya ñāṇadassana)と言うが、それはすなわち、因と果の無余滅尽を観照する智慧である。

13.3.3 因縁滅と刹那滅の観法

我々は一つの例をあげて、如何にして縁起第五法によって諸々の蘊の因縁滅と刹那滅を観照するのかを説明する。

前に述べた二種類の壊滅を観じることができる時、あなたは以下の様に観照しなければならない:

1、無明が滅尽するが故に、色蘊が無余に滅尽する。

2、愛が滅尽するが故に、色蘊が無余に滅尽する。

3、取が滅尽するが故に、色蘊が無余に滅尽する。

4、行が滅尽するが故に、色蘊が無余に滅尽する。

5、業が滅尽するが故に、色蘊が無余に滅尽する。

次に、あなたは色蘊の刹那滅を観照しなければならない。

あなたは、同様の方法によって、その他の諸々の蘊を観照する。

六門心路過程の中の、一つひとつの心識刹那の中には、みな五蘊が存在する。

あなたは同様の方法を用いて、それらを観照しなければならない。

あなたは一人の良師を得て、学習しなければならない。

あなたはまた、縁起第一法に基づいて、縁起支の因縁滅と刹那滅を観照しなければならない。

あなたは先に、前に述べた、二種類の無余滅尽を観じなければならない。

もし、将来において、(+あなたが)阿羅漢果を証得する時、諸々の因が無余に滅尽するのを見たならば、あなたは、以下の様に、因縁滅と刹那滅を観照しなければならない。

1、無明が無余に滅尽するが故に、行が無余に滅尽する。

2、行が無余に滅尽するが故に、識が無余に滅尽する。

3、識が無余に滅尽するが故に、名色が無余に滅尽する。

4、名色が無余に滅尽するが故に、六処が無余に滅尽する。

5、六処が無余に滅尽するが故に、触が無余に滅尽する。

6、触が無余に滅尽するが故に、受が無余に滅尽する。

7、受が無余に滅尽するが故に、愛が無余に滅尽する。

8、愛が無余に滅尽するが故に、取が無余に滅尽する。

9、取が無余に滅尽するが故に、業有が無余に滅尽する。

10、業有が無余に滅尽するが故に、生有が無余に滅尽する。

次に、一つひとつの縁起支の刹那滅、すなわち、無明、行、識、名色、六処、触、受、愛、取、業有と生有の刹那滅を観照しなければならない。

13.3.4 過去、現在と未来の名色

 もし、観智で以て、直接因果関係を了知したいと思うならば、あなたは先に、過去、現在と未来の名色法を観照しなければならない。そうでなければ、あなたは因と果の無余滅尽を見ることはできない。

ここまで説明しても、あなたはなお、仏陀は《大念処経》の中で、現在の名色法だけ観照すればよいと教えた、というのであろうか?

もし、仏陀の教えを理解するならば、あなたは、その様には言わないであろう。

過去、現在、未来の名色法は、みな観照されなければならない、というのも、それらはみな、観智の目標であるが故に。

もし、過去、現在と未来の名色法を観照しないのであれば、あなたは縁起の法を理解することができないし、また、因果の生・滅を無常・苦・無我として観照することができない。

そうであれば、生死輪廻を離脱することはできないのである、というのも、仏陀は《大因縁經》の中において、その様に述べているが故に。(6-52につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等ほぼ原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>