Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#3-1

禅者序文(第一版)

皆様ご存知の通り、戒・定・慧の三学は、仏法の修学(修行と学び)の次第であり、この三学は、凡夫をして涅槃を証悟せしめて、聖者と成す事ができる。

仏音尊者が編纂・著作した《清浄之道》(Visudhimagga、または《清浄道論》)はすなわち、この三学を大綱とし、かつ、パーリ三蔵と義注(ママ、以下同様)に基づき、七清浄及び16観智を解説したものである。

しかし、それらを成就するにはどうしたらいいかは、歴代の仏教徒が対面せざるを得ない難題である。

我々は、幸いにして、緬甸のパオ禅林の

Venerable Pa-Auk Tawya Sayadaw

に出会う事が出来た。彼の教法と《清浄之道》は一脈相伝であると同時に、(《清浄之道》より)非常に詳細で実際的である。

彼は、《清浄之道》に依拠するだけでなく、またパーリ三蔵聖典及びその義注に依拠して、段階を追って、禅修行者が如何にしてこれらの清浄を成就するのか、観智を育成するのか、を指導している。

パオ禅林の修学の目標は、今世現証涅槃である。

涅槃を証悟する為に、禅修行者は名色(五蘊身心)の無常・苦・無我の三相を観照しなければならない。観の修習における所縁は、内部と外部の五蘊だけでなく、過去、現在と未来、粗い、微細、劣等、優秀、及び近い、遠い五蘊が含まれる。

唯一、すべての、これらの一切が、無常・苦・無我であると、徹底的に観照できた時にのみ、禅修行者は、聖道聖果を証悟する事が出来、かつ、漸次、異なるレベルの煩悩を断じ除く事ができるか、または、減じる事ができる。

己みずから、初めて涅槃を証悟した後、禅修行者は、已に証悟した所の初道初果、已に断じた煩悩及び断ずべきではあるが、未だ断じていない煩悩をはっきりと観察する事ができる。

この後、禅修行者は、更に高度な道果を証得し、阿拉漢聖果を獲得し、不受後有、命尽きる時、般涅槃を証する為に、引き続き観を修習するのである。

仏法が衰微する時代に、筆者が完全な原始禅法を修学する事が出来るとは、実に慶祝すべき幸福であり、それは将に仏陀の時代に回帰したかの如くの法の喜びである!

Venerable Pa-Auk Tawya Sayadawが、

長年隠遁修行し、パーリ聖典と義注を研究、実践し、この教法を再び復活せしめた事に恩に感じ、感謝する!

衆生への慈悲から、彼は己自身の時間を捧げて禅の修行を指導し、有情に利益し楽を齎した。

彼の教導する七清浄の段階は明瞭で、明晰で詳しく、この事は台湾だけでなく、世界全体における得難く、出会うに値する禅法である!

この度(1998年4月~6月)、Venerable Pa-Auk Tawya Sayadaw 初めて来台し、新竹壱同寺において、二か月の間、禅リトリートを開催した。

彼の指導は、台湾人の原始禅法への興味を引き起しただけでなく、かつ、大乗禅法の幾つかの不足を補うのに大きな助けとなった。

読者の皆様には、パオ・セヤドーの、台湾におけるこれらの緻密な法話と問答を閲読した後、更に深く仏陀の教導を理解出来る様にと希望するものである。

正法久住を願う!

また、この本の世に出る事が、世界各地の、生死の迷いを破り除きたいと思い、解脱を探し求める者に依拠を与え、更に多くの人々を、真正に解脱の道に歩み入って、己みずから「諸行無常諸法無我涅槃寂静」を証悟せん事を願う。

これは水月空花(水に映る月、掴めない花)ではなく、己みずから証する事のできる境である。

ただ己みずから<親知実見>する者のみが、ただ己みずから証する者だけが、その中にある法の楽を享受する事が出来る。

台湾比丘尼

緬甸パオ禅林にて

1998年9月22日

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>