南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

是誰庵仏教談義>梅子熟せり(後日完成→完成しました)

昨日は猛暑かと思うほど暑かったのに今日は雨。そろそろ梅雨

ですね。梅雨で思い出したのが<梅子熟せり>という禅の公案。

若い頃読んだ公案なので、思い出しながら、書いてみます。

細かい所で、勘違いがあったらお許しを。

昔々、中国のあるお寺に、Aという和尚さんがいて、AにはBという弟子

がいました。A和尚さんは<人に仏性有り>という考えを持ち、そのよ

うな認識・悟りを得られるようにと修行を指導しました。ただ、Bは長年

お寺で修行しても一向に成果が見えず、仕方なく別のお寺に移っていき

ました。移った先のお寺の所在地が梅県(中国では県は、市より小さい

町又は村)。

そこでBは修行に頑張り、ある時、悟りを得ました。かつての弟子Bが

悟ったと伝え聞いたA和尚は、もう一人の弟子Cを呼んで、「お前、

梅県に行ってBに『最近、A和尚は<仏性は無い>と宗旨替えをした』

伝えてこい」と言います。

Cは、遠路はるばる梅県まで行ってBに会い、A和尚の伝言を伝えました。

Cから話を聞いたBは「仏性はあるといったらある!」「お前なんか

とっとと帰れ!」と言って、Cを追い返しました。

CはA和尚の所に戻り、委細を報告すると、A和尚は「梅子熟了=梅子

(梅県にいるBの事)熟せり」と言ってほめたたえたという公案。

これは何を意味しているのでしょうか?勿論、自分で座禅修行して、

禅の指導者であるA和尚さんかまたはB弟子と同じ体験をすれば

納得がいくでしょう。あえてヒントを言えば<自立>。ただし、

20歳になって実家を出たとか、会社に就職して社会人になったとか、

結婚したとかの社会的自立ではなくて、精神の徹底的自立、即ち

カイヴァリヤ(=独存)の事。仏陀が唯我独尊と言った独尊も同じ。