Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

是誰庵仏教談義>金襴緞子

ミャンマーのモービー寺院で出家してもうすぐ2か月になります。

午後食事しないのが、ちょっとつらいのと、会う人毎に坊主頭の理由を説明をしなければならない以外は、まぁ、なんとか楽しく、南伝のsayalay、是誰庵の庵主として暮らしています。

さて、先日、私が尼僧になった事を知って、こういう事を相談して来た人がいました。「自分は父が早くに亡くなり、今年は〇〇回忌です。父の法要を、妙心寺派の某寺院に頼みました。精進潔斎の食事会はお寺と関係なく、兄弟たちと、町のレストランで会食する事にしました」「所で、父の法事を執り行ってくれるお寺に、お布施の相談をした所<金襴緞子の法衣が欲しい。京都で100万円で作ってくれるので、半額負担して欲しい>と言われましたが、これは正当でしょうか?」と聞くのです。

私は絶句してしまいました。お布施の中身、金額を示してくる僧侶。そんな僧侶、日本には、いるんですねぇ。それも金襴緞子の法衣!!!(南伝仏教でも、ストーパを建てたいとか、隣の敷地を買い取りたいとか、お寺の計画、胸の内の希望をほのめかす(?)僧侶はいますが、金額を指定してくることはありませんし、お布施を、断れないような雰囲気の中で要求するのは、戒律違反になると聞いています)。

まず、僧侶が、そんな高価、豪華な法衣を、どこへ着ていくのでしょうか?豪華な法衣は何の為?信者さんを驚かすため?テーラワーダの僧侶は、ただ裁断しただけの、カーテンみたいな黄色い布きれを腰に巻き、肩に巻き、しているだけで、お布施として法衣を差し上げるとしても、そんな大金にはならない(毎年、雨安居が終わった後にカティナ祭というのがあり、信者さんが僧侶またはお寺に、法衣一式をお布施する習慣はありますが・・・)。

金襴緞子の法衣、紫色の法衣って一体なんなのでしょうか?<紫色は高貴な色だから、高僧が着る>って聞いた事がありますが、悟っている高僧は、本人から金色のオーラ―が出るので、そんなもの着なくても大丈夫です(苦笑)。

以前、台湾パオ(静楽禅林)を訪ねた時、副住職さんが「その国の僧侶は、その国の国民が育てるもの。僧侶の戒律についても、国民がよく学び、悪比丘の行為は、国民が監視、批判しなければならい」と言っていました。

田舎の禅宗の僧侶が着る金襴緞子に50万円払ったこのご婦人は、早逝した父に代わって母を助け、兄弟を見守って、ご自身は生涯独身を通し、今は年金生活です。こうした人に「金襴緞子の法衣」って、それはないわ(勿論、本人が喜んで、進んでお布施したなら別ですが・・・、本人が納得していなかったので、一文書かせてもらいました)。