<パオ・セヤドー問答集~010>問答(二)問2-2>下段
#010-150704
白遍の修行において、成功裏に第四禅にまで到達しようという修行者は、先に内と外における白骨観を修行しなければなりません。というのも、これを修行した後では、修行者にとって、白遍の修行が非常に簡単になるからです。故に、安般念の第四禅が完成した後、我々は通常、修行者に32分身、白骨観と白遍を教えます。我々の経験では、大多数の修行者は、白遍第四禅は安般念第四禅よりさらに優れていると言います。なぜならば、それはより澄み切った、より明るく輝く、更なる静謐な心であるから、と。このような澄み切った、明るく、平静な心は、その他の業処を修行するのに大変助けになるものです。故に、慈心観の前に、我々は通常、先に白遍を教えます。
ここにおいて、私は、初心者によく発生する問題を指摘します。あなたは以前、慈心観を修行した事があるかもしれません。その時あなたは慈心禅に成功裏に到達していたでしょうか?実際の修行では、修行者が慈愛を同じ性別のある人に拡散し、届けたいと思った時、修行者はまずその人の笑顔を対象とし、その後に慈愛をその人に届けます「この善き人が精神的な苦痛から免れますように・・・」と。初心者がこのように慈愛を拡散し、届けようとしても、笑顔は非常に早く消失してしまいます。そのため、彼は彼の慈心観を続けることができなくなります。というのも、彼の慈愛を受け取る対象が無くなってしまうからです。もし状況がこのようであれば、彼は慈心禅に到達する事ができません。
もし先に白遍第四禅の基礎があれば、状況は異なります。修行者は定から出た後、彼が同じ方法で慈愛を拡散、届けようとする時、その人の笑顔が消える事がありません。それは、先に定力の支援があったからなのです。彼は深くその笑顔に専注することができ、一度の静坐で慈心観第三禅まで到達する事ができます。もし系統的に修行して、異なる類型の人の間の差異、境界を打ち破る事ができたなら、彼はパーリ経典《無碍解道Paṭisambhidāmagga》の中に書かれてある528種の慈愛の拡散方法と《慈愛経》の中に書かれてある11種の方法を修行する事ができます。
また、あなたは仏随念(buddhānussati)を修行した事があるかもしれません。あなたは成功裏に近行定に到達できたでしょうか?すでに慈心禅を成就した人が仏随念を修行する時、彼らは一度の静坐において、近行定に到達する事ができますが、それは、先の定力がその後の定力を支援する事ができるからです。同様に、すでに慈心観、安般念または白遍の修行を成就した人にとっては、不浄観(asubha)は非常に簡単なのです。もし修行者が不浄観を修行して初禅に到達した後、その後に死随念(maraṇānussati)を修行するなら、一度の静坐によって成功することができるでしょう。これが、我々が四護衛禅の前に、先に白遍を教える理由です:もちろん、もし修行者が四護衛禅を修したくないのであれば、直接観禅(vipassanā)を修行する事にしても、なんら問題はありません。(完)
<禅修問題与解答(パオ禅師等講述)>中国語版より訳出。
(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)
初めてご来訪の方へ:15年1月緬甸(ミャンマー)から日本への帰路の途中、台湾に寄りました。パオ・セヤドーの著作を頂けると聞き、新北市の寺院を訪問して上記<禅修問題与解答(パオ禅師等講述)>(中国語版)を入手しました。<パオ・セヤドー問答集(仮題)>として、毎日又は隔日、一遍ずつ翻訳して掲載する予定です(出張時除く)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、パオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。