Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー問答集~#020~022>問答(三)問3-9、3-10、3-11

#020-150713

問3-9 四界分別観の修行で、12種類の特相(特徴)を識別しようとする時、必ず硬い、荒い、重いという順序で始めなければなりませんか?修行者はその他の、任意の種類の特相(特徴)を選んで修行を始めてもいいですか?

答3-9 初めて修行する段階では、識別しやすい特相(特徴)から始めても構いません。しかし、すべての特相(特徴)を、非常に容易にはっきりと識別する事ができるようになったら、我々は仏陀の教えた順序、すなわち:地界(pahavīdhātu)、水界(āpodhātu)、火界(tejodhātu)、風界(vāyodhātu)の順で修行しなければなりません。というのは、この順序で修行すると、強くて力のある定を生じさせる事ができるからです。我々が色聚を見る事ができるようになり、かつ一粒毎の色聚の中の四界を簡単に識別できるようになった時、順序はあまり重要でなくなります。重要なのは、同時にそれらを識別できるかどうか、という事です。

どうしてか?色聚の寿命が非常に短い為です;それらの寿命は、十億分の一秒よりまだ短いのです。この段階においては、我々に「地界、水界、火界、風界」とラベリングさせてくれる時間はありません。我々は同時に四界を識別しなければならず、順序に従って識別するわけではありません。(完)

#021-150713

問3-10 四界分別観を修行すると、修行者は身体の四大(すなわち四界)のバランスを取る事が出来るようになります。人間は、四大がバランスを失う事で病気になる事がありますが、修行者が病気になった時、強力な正念で四界分別観を修行して、病気を治す事ができますか?

答3-10 色々な病気があります。ある種の病気は、過去世の業から生じたものです。たとえば、仏陀の背中の痛み;ある種の病気は、四大がバランスを失った為に生じます。過去の業によって生じた病気は、ただ単に四大のバランスを取り戻す事によって治癒する事はできません。四大のバランスを失った為に生じた病気は、修行者が四大のバランスを取り戻す事によって、治る事はあります。

またある種の病気は、食物、時節(utu 温度;火界)または心理(citta)によって生じます。もし病気が心によって生じているのならば、我々は心を治療すれば、その病気は治るでしょう。もし病気が時節で生じているならば、たとえば癌、マラリア等は、ただ薬でのみ治療でき、四大のバランスによる治療はできません。不適当な食物で生じた病気は、また同じ道理です。(完)

#022-150713

問3-11 我々は第四禅に到達し、また無明12(avijjā)を取り除く前、過去の悪い習慣によって、多くの妄想が生起します。たとえば:(リトリートの期間外の)日常生活の中で、貪愛または憤怒がたびたび生起します。我々は不浄観(asubha)または慈心観(mettā-bhāvanā)でそれらを振るい落とすことができますか?または、ただ瞑想の対象に専注して、これらの妄想に注意を向けないようにすれば、それらは勝手に消失するでしょうか?

答3-11 不善業について言えば、無明(avijjā)は潜在的な原因で、不如理作意が直接原因(近因)です。不如理作意は非常に重要な要素です。もしあなたが如理作意で不如理作意を取り換える事が出来たなら、貪愛または憤怒は暫定的に消失します。もしあなたの如理作意が非常に強くて力があるならば、それらは永久的に消失するでしょう。前回の講座で、我々はすでに如理作意と不如理作意について話しました。

あなたは不浄観または慈心観でそれらを消失させる事はできるますが、これらの修行法は、如理作意でもあります。而して、観禅(vipassanā)は煩悩を滅する最もよい武器です;すなわち観禅(vipassanā)は、最もよい如理作意なのです。(完)

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本又は海外でのリトリート中は、更新を休みます)。