Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー問答集~#072>問答(七)問7-12

☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。

#072-150817

問7-12 作為(manasikāra)と七覚支(bojjhaṅga)の修行とは、どのように異なりますか?

答7-12 あなたが七覚支(bojjhaṅga)を修行する時、通常は、七覚支を始めとする、34個以上の名法があります。この34個の名法の中で、作意はその中の心所(cetasika)の一つです。有るときは、この34個の名法は、観智とも言います。というのも、34個目の名法は観智(paññā 般若)であり、それは、これらの名法の中の、最も主要な要因であるからです。

ここにおいて、あなたは三種類の作為を理解する必要があります:

  1. 対象を縁として取る基本的原因となる作為(ārammaṇa-paṭipādaka-manasikāra):
  2. 心路過程の基本原因となる作為(vīthi--paṭipādaka-manasikāra):
  3. 速行の基本原因となる作為(javana---paṭipādaka-manasikāra)。

 

(一)、対象を縁として取る基本的原因となる作為の意味するところは、作為心所であり、その作用は、修行者の心の中に対象がはっきりと表れるようにする事。

(二)、心路過程の基本原因となる作為とは、五門心路過程(pañcadvāra-vīthi)の中の五門転向心(pañcadvāravajjana)を指します。この作為がある為、五門心路過程は、それぞれ個別の対象をとって、初めて、生起する事ができます。

(三)、速行の基本原因となる作為とは、意門心路過程(manodvāra-vithī)の中の意門転向心(mano-dvārāvajjana)、および五門心路過程の中の確定心(voṭṭhapana)です。この作為は、如理作意でも、不如理作意でもあり得、速行心(javana)はこの作意によって生まれます。もしそれが如理作意であるとするならば、凡夫(puthujjana)と有学(sekkha 初果から三果)について言えば、速行心は善です;しかし、阿羅漢にとって言えば、速行心はただ唯作10(kiriya作用性)です。それが不如理作意であるならば、速行心は不善です;阿羅漢について言えば、この種の状況は生じません。

七覚支(bojjhaṅga)を修行する時11、速行の基本的原因となる作意は非常に重要です。あなたが七覚支を修行する時、一つ毎の速行刹那の中には、34個の名法があり、作意心所(manasikāra‐cetasika)は、その中の一つです。故に、私は一つの例を上げて説明したいと思います:もしあなたが系統的に安般念を修行する時、安般念似相は生起しますが、その時七覚支が存在します:そのうち、明確に安般念似相を忘れないようにする正念は、念覚支(sati-bojjhaṅga)です。その時、あなたは安般念似相に注意しなければなりません。もし注意(作意)しなければ、安般念似相に対する正念は生じる事ができません。その注意は、作意心所(manasikāra-cetasika)及び速行の基本的原因となる作意(javana-paṭipādaka-manasikāra)と言います。言い換えれば、この時は如理作意(があるという事)です。

更に、安般念似相を透視する智慧は択法覚支(dhammavicaya-bojjhaṅga)です。どうして「透視」と言うのか?安般念の修行を始めた最初の頃、あなたは安般念似相を見る事ができません。もし、引き続き修行するならば、定力が成熟した時、あなたは安般念似相を見る事ができるようになります。故に、我々は「あなたは安般念似相を透視する」と言うのです。これが択法覚支です。

安般念似相の為に努力している事を明らかに知っているのは精進覚支(vīriya-bojjhaṅga)です;安般念似相に対する喜悦は喜覚支(pīti-bojjhaṅga)です;安般念似相に専注する時の心と心所の平静は、軽覚支(passaddhi-bojjhaṅga)です。安般念似相に対して一心に専注するのは定覚支(samādhi-bojjhaṅga)です;安般念似相に対する平等中立性は捨覚支です。このように、あなたが安般念似相に注意を向けている時、七覚支はそこに存在しています。

今、あなたは私の説明を注意して聞いていて、安般念似相を見ていません。あなたが安般念似相に注意を向けない時、安般念似相の七覚支は存在しません。このように、あなたが七覚支を修行している時、作意は非常に重要なのものなのです。(完)

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます)。