Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー問答集~#217~#222>問答(15)問15-8~15-13<戒学疑問篇>

☆11月より長期リトリートに入る為、公開の翻訳文が少し多くなっています。よろしくお願いいたします。

#217-150917

問15-8 虫の入っている水を土中に捨てたら、殺生戒になりますか?

答15-8 もし、この事によって虫が死んだら、水を捨てた人は殺生戒を犯した事になります。実際には、虫の入っている水を土中に捨てるという事はしてはならず、適当な容器、または池、河に放すべきです。

#218-150917

問15-9 人に「船上に生きた魚があって、購入する事ができる」と教えるのは、殺生示唆罪になりますか?

答15-9 これはその事を知らせた人の動機にもよります。もしその人の動機が、生きた魚を買ってきて、放生するためであるならば、これは善行になります。これはマレーシアでよくみられる文化ですが、禁止するべきです。皆さんの、放生のためかどうかにかかわらず生きた魚を買うという行為によって、漁夫はさらに多くの魚を取ってきて需要に対応しようとします。実際は、あなた方は漁夫にお金を上げて、もっと魚を獲って来いと唆している事になります。本当は、あなたはあなたの金銭をもっと上手に使う事ができます。もし、彼の動機が、生きた魚を殺して食べる為であれば、殺生示唆罪になります。

#219-150917

問15-10 比丘が、山の中で主のある竹を切ったならば、戒に反しますか?どのような戒に反した事になりますか?どのように懺悔しますか?

答15-10 比丘に偸盗の気持ちがなく、竹に主がいるとは思わないで切ったならば、彼は偸盗戒を犯した事にはなりません。ただ、植物を傷付けた事は、波逸提罪になります。しかしながら、一たび竹に所有者があるという事を知ったならば、彼は何らかの方法で、持ち主の損失を賠償しなければなりません。もし賠償しないと決めたならば、偸盗罪になります。

もし比丘が、最初からその竹には主があるという事を知っていて、主の同意を得ずに切ったのであれば、上述の波逸提罪以外に、偸盗罪を働いた事になります。この偸盗罪の重さは、彼が切った竹の価値によります:もし切った竹の価値が古代インドの一銭または一銭以下である時、突吉羅罪になります。もし当該の価値が一銭から五銭までの間である時は、偸蘭遮罪になります:もしその竹が五銭か五銭以上であれば、波羅夷罪になります。

もし犯したのが偸蘭遮、波逸提又は突吉羅罪である時、彼は一人の比丘に自分の犯した罪を懺悔し、同時に何らかの方法で、持ち主の損失を賠償しなければなりません。もし比丘が波羅夷罪を犯したのであれば、彼は比丘の身分を失います。波羅夷罪は懺悔できないものです。

#220-150917 

問15-11 比丘が波羅夷戒を犯した時、自動的に比丘の身分を失いますが、彼は再度出家できますか?

答15-11 今生では、彼は二度と戒を受けて比丘として出家する事はできません。ただ、彼が即刻、違反した罪を認め、袈裟を脱ぐならば、再度戒を受けてサーマネラになる事はできます。もし彼が戒を犯した事を隠し、元の姿のままでいて、比丘だと詐称するならば、彼にはサーマネラになる資格もありません。

#221-150917

問15-12 在家が五戒を破っても、出家はできますか?

答15-12 通常はできます、彼の犯した罪が、非常に重いものでなければ。たとえば、父親殺し、母親殺し、阿羅漢殺し、比丘尼を性的に汚す・・・等です。受戒の資格のある居士は、比丘戒を受ける前に、サーマネラの10戒を受けねばなりません。

#222-150917

問15-13 出家にはどのような条件がありますか?

答15-13 出家して比丘になりたい人は、必ず、生死輪廻から解脱したいという願望がなければなりません。そのほかには、下記のような条件に合致する必要があります。彼はかつて、父親、母親、阿羅漢を殺した事がない。生きている仏陀に悪意をもって血を流させた事がない。サンガの和合を分裂させた事がない。比丘尼またはサーマネリを性的に汚した事がない。因果を信じない頑なな邪見に執着してはならない。彼は自由な身分の者で、社会人であり、法を守る者でなければならない。収監者、奴隷ではなく、強盗などの犯罪者ではない事。債務なく、政府の公職になく、ハンセン病、廱(カルブンケル)、疹(悪性の吹き出物?)、結核、癲癇などの難病でない事。年齢は少なくとも 20 歳に達しており、父母も出家に同意している事。三衣一鉢を具備している事。黄門(生殖器官のない者、または生殖器官が異常な者)でない事。性的境界者(ふたなり)または賊住者(かつて比丘またはサーマネラを詐称した者)ではない事。辺罪者(過去に出家して比丘であった事があり、かつ波逸提罪を犯している者)でない事、又は帰外道者(元々仏教で出家して、その後外道に帰依し、その後にまた仏教に戻って出家を願い出る者)でない事。奇形や障碍者でなく、目、耳、言葉に障碍がない事。(完)

(翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)

 

初めてご来訪の方へ:上記は、台湾より請来した「禅修問題与解答(パオ禅師等講述)」(中国語版)の翻訳です(仮題「パオ・セヤドー問答集」)。「智慧の光」「如実知見」の姉妹版として、アビダンマ及びパオ・メソッドに興味のある方のご参考になれば幸いです。(一日又は隔日、一篇又は複数篇公開。日本及び海外でリトリート中はブログの更新を休みます。Idaṃ me puññaṃ nibbānassa paccayo hotu)。