南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「四煩悩を断つ」(「断除四煩悩」翻訳文)―19

4、我痴

智慧が無ければ、命の主宰者になれない

我痴の意味は、愚かで智慧のない事を言う。

智慧のある人は、己の命の主宰者になる事ができる。しかし、

我々に智慧は無く、他人がああいえばそう思い、こういえば

こう思い、いつも他人の影響を受けて、是非の観念の内に落

ちる事甚だしい。

仲のよい友人の言う事は、特別細かく考えてみる事もせず、

理性的分析、理性的判断をすることなく、只感情的に、すぐに

信用する。

故に、我々は、自己の命を正しく掌握している人は一人もいない、

ということができる。

我々の命が、他者から簡単に影響を受けてしまうのは、我々に

智慧がないから、である。

愚かとは、智慧の反対詞で、智慧のない人間は、愚か者である。

智慧がないために、問題のありよう、是非、善悪を分別すること

ができず、他人の一言で、ストレスを生じ、生きる事が苦しく

なったり、または、他人の一言で、楽しい日を過ごしたりする。

このような人間には、真の命は、ない。

彼の命は、完全に他人の口にコントロールされている。

というのもの、他人の言葉、他人の反応によって、嬉しく

なったり、悲しくなったりするからである。

このような人は、真の命を擁する事はない。(つづく)

           (台湾高雄文殊講堂 慧律法師著

            翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)