4、我痴
智慧が無ければ、命の主宰者になれない
我痴の意味は、愚かで智慧のない事を言う。
智慧のある人は、己の命の主宰者になる事ができる。しかし、
我々に智慧は無く、他人がああいえばそう思い、こういえば
こう思い、いつも他人の影響を受けて、是非の観念の内に落
ちる事甚だしい。
仲のよい友人の言う事は、特別細かく考えてみる事もせず、
理性的分析、理性的判断をすることなく、只感情的に、すぐに
信用する。
故に、我々は、自己の命を正しく掌握している人は一人もいない、
ということができる。
我々の命が、他者から簡単に影響を受けてしまうのは、我々に
智慧がないから、である。
愚かとは、智慧の反対詞で、智慧のない人間は、愚か者である。
智慧がないために、問題のありよう、是非、善悪を分別すること
ができず、他人の一言で、ストレスを生じ、生きる事が苦しく
なったり、または、他人の一言で、楽しい日を過ごしたりする。
このような人間には、真の命は、ない。
彼の命は、完全に他人の口にコントロールされている。
というのもの、他人の言葉、他人の反応によって、嬉しく
なったり、悲しくなったりするからである。
このような人は、真の命を擁する事はない。(つづく)
(台湾高雄文殊講堂 慧律法師著
翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)