南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

ブッダダーサ著「生活の中の縁起」(翻訳文)ー21

8)経典に描かれている縁起には色々な種類がある。たとえば:

(1)無明から老死(苦)までーー縁起を正順の方法で説明

しているもの。

(2)老死(苦)から無明ーー縁起を逆順で説明しているもの。

この(1)と(2)の正順と逆順の二種類の説明は、縁起の

還と滅が含まれる。

(3)根境の説明から始め、識、触、受が生まれることを

言い、しかし、無明には触れていないもの。

(4)受から始まり、苦(老死)まで続くもの。

(5)最後の一つは、非常に奇特な説明の仕方かも知れない。

生と滅は、一回の縁起の運行の中で説明され、無明の縁に

よって行あり、行の縁によって識あり、識の縁によって名色

あり・・・、受の縁によって渇愛がある、といい、かつ、

渇愛滅すれば取滅し・・・と、苦の滅まで述べたもの。

これは最も奇特な説明である。この種の説明は、実は、

縁起が生じて、渇愛に発展してしまっても、その時正念を

生じせしめる事ができるならば、渇愛の流転・捻転は、

中断する事ができ、翻って、苦を除く事ができる、と

言っているのである。

もし、我々が経典の中の各種の形式の、さまざまな縁起

について議論するならば、我々ははっきりと、縁起は

三世を含まなくても可能だ、という事が分かる。

(つづく)

(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語

原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)