南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

ブッダダーサ「生活の中の縁起」(翻訳文)ー36

11種類の縁起~~

現代社会には、一つの、非常によくない状況がある。現代社会で

教えている縁起は、原始パーリ経典に合っていないし、経典に依拠

してもいない。

原始パーリ経典での説明と、現在伝授されている内容は、全然別の、

二つの事柄だ。

原始パーリ経典では、縁起とは11種類で一組となる、お互いに

絡まり合いながらできあがったチェーンのようで、この11

種類が(絡まり合う)状況は、縁起における、一回分の円環

的流転、に相当する。

しかし、現代では、この11種類の縁起は、三世ーー過去世、

現在世、来世ーーを貫通するものだ、と説明されている。

このように説明される縁起は、修行には、使えない。

原始パーリ経典では、我々の心の中に煩悩が生じると、

11種類の状況は、お互いに依存し合いながら、相続的に、

縁起の運行を生じせしめる、と言う。

こういう事であるから、縁起を三世の事だとか、一世の事

だとか、一年だとか、一カ月または一日のことだとか、

そういう風に言う必要は、ない。

我々が瞬きする一瞬の間に、完全なる円環を持つ縁起と、

それに従って生じる苦は、あっという間に生じ、

あっという間に、終了してしまっているのだ。

縁起が、誤った説明の仕方で指導されるとき、それは無用の

長物となり、無意味な論争が助長されるだけだ。

しかし、もし、原始パーリ経典の中に書かれているように、

縁起を正確に説明する事ができるならば、縁起とは、人々に、

最大の利益を提供できるものであり、それは、我々の日常生活

の中にある問題を、直接的に解決する事が出来るものである。

故に、以下に述べる事項に、注意を払っていただきたい。

(つづく)

(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語

原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)