これ(no.42の内容)は、仏陀が覚醒した後、発見した縁起であり、
彼は、苦の連鎖、苦とは11種類の状況によって、生み出される
事を発見したのだ、ともいえる。
我々が外境と接触する時、もし、無明(正念を失う事)が己の主人
となるならば、その場において、それはすぐに、<識>に発展する。
「識とは永遠の主体である」などという誤解を、しないで頂きたい。
実際は、根と外境が接触した時にのみ、識は発生する。
識が生じると、引き続き、迅速に、行(新しい名色を生じせしめる
原動力)が生じる。この新しい名色は、苦を受ける機能をもつ。
次に、苦を助長する六入が生じ、それによって、苦を内蔵する触が
生まれ、次に苦を促成する受が生じ、次に陸続として愛(渇愛)、
取、有、生(自我意識の誕生)が生じるが、これで苦は完全に出
揃った事になる。
我々が知る所では、仏教と人類の歴史の中で、最初に縁起を発見
大悟したのである。
以上が、経典に書かれた、縁起の起源である。
今話している内容は、普通一般の人々には理解しがたいものである。
しかし、縁起について、円満に解説するためには、研究しない訳に
はいかない。
次に、仏陀が覚醒した後、宣揚した所の各種の教えの内、縁起の
11種類の状況については、5種類の解説がある、という事を説明
する。(つづく)
訳者コメント:私はこれまで、寡聞にして、仏陀の縁起説に関して、
十分納得する、腹落ちする説明を聞いた事がありませんでした。
ブッダダーサは、<新しい名色が発生する!>と言う。
素粒子物理学を学んだことがある人なら「ははー、あれか」と思う
かも。
(台湾香光尼僧集団翻訳グループ~タイ語→中国語
原題「生活中的縁起」中国語→日本語 Pañña-adhika sayalay)