《増支部 Aṅguttara Nikāya》の中の《降伏瞋恨経》に、以下の
ような開示がある:
「比丘たちよ、ここに五種類の、瞋恚と怨恨を調伏する方法がある。
比丘の心に瞋恚と怨恨が生起した時、彼は必ずこの五種類の方法に
よって、徹底的に瞋恚と怨恨を調伏しなければならない。
その方法とは何か?
心の中に瞋恚と怨恨が生起した時、彼は慈心観を修行しなければ
ならない・・・悲心感を・・・捨心観を・・・自分が、瞋恚と怨恨
を引き起こす対象に対して、正念を保持しなかった事を省察し、
かつ反省しなければならない・・・一人一人は、自己の造りし
業報をうけなければならない事を思惟しなければならない・・・
彼はこのようにして瞋恚と怨恨を調伏する。
これが、瞋恚と怨恨を調伏する五種類の方法である。
比丘の心の中に、瞋恚と怨恨が生起する度に、彼は必ずや、
徹底的に、瞋恚と怨恨を調伏しなければならない。」
次に、もし比丘が、切株、棘、草又は葉っぱに腹を立てる時、
彼は自己に問うてみなければならない:
あなたは何に怒っているのか?
あなたは地大に腹を立てているのか?
それとも水大に腹を立てているのか?
又は自己に問うてみる:誰が腹を立てているのか?
地大が腹を立てているのか?
水大が腹を立てているのか?
地、水、火、風の四大を思惟する時、無生物に対する瞋恚と怨恨は
跡形もなく消失する。故に、瞋恚と怨恨の念を引き起こす対象から
言えば、思惟の対象である四大は、「其他対象」である。
心の中に有情の衆生や無生物に対して愚痴(=愚かさと無知)なる
念が生じた時、仏法に相応する五項目の依止は、「其他対象」である。
五項目の依止とは:
1、導師の指導に基づいて生活し、振る舞う。
2、仏法を学ぶ。
3、仏法の真意を学ぶ。
4、適切な時に仏法を聞く。
5、何が因で、何が因でないかを、考える。
上記の五つの項目に依り、または五つの巧みな方法を運用すれば、
愚痴(=愚かさと無知)を除く事ができる。
(= )訳者。(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)