南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-56

比丘は、下記のような方法を運用して、愚痴(=愚かさと無知)

断つこともできる。

比丘が仏法を学ぶ時、このような思惟を通して、自己を高める:

「導師は、学習するべき時間に学習に来ない人、(+お経を)

しっかり称えない人、全く称えない人を、処罰する。」

道徳的に高徳である、比丘を訪ねて行って彼らに質問する:

「尊者、この法の道理は何ですか?この法の意味は何ですか?」

このようにすれば、疑惑を取り除く事ができる。

多くの人が仏法を聞きに来ている所へ行き、細心の注意を払って

仏法を聞くようにすれば、徐々に、多くの経文の含意を理解する

事ができる。

彼は徐々に、何が因で、何が因でないかを、識別する事ができる

ようになる。彼は「これはこういう現象の因で、あれはこういう

現象の因ではない」と識別できるようになる。

例えば:彼は眼根、色塵、光と作意は、眼識が生起する原因であり、

耳識が生起する原因ではない(+などという事が分かるようになる)。

次に、38種類の中の、何か一つの任意の法門を修行する人は、

当然、悪念を取り除くことができる。

貪、瞋、痴の相克者、天敵ーー五種類の法または五種類の実践方法ーー

によって貪、瞋、痴を断つとき、貪、瞋、痴は徹底的に取り除く事

ができる。

それはまるで、たいまつ、土、木の枝を利用して火を叩くようで、

当然、火を消すことができる。しかし、もしも、火の相克者ーー水ーー

を使って火を消すなら、火をば、徹底的に消す事ができる。

同様の道理で、この経の初めに触れた五種類の法によって貪、瞋、痴を

取り除こうとする時、それは徹底的に断ずる事ができる。

経文の中で言われている

「就像善巧的木匠或木匠的徒弟、能用細的木釘将細的木釘打掉、移除、取出。」

について、細い釘とは、木材の芯で造った釘で、それは大工が板の中から

取り出したいと思っている、木の釘より更に細い。太い釘とは、心木板や

檀香木の板の中に嵌っている、一本の不調和な釘の事である。

比丘は、増上心を成長させることに尽力しなければならない。

彼の心は、あの心木板のようである:邪悪な念は、その中の不調和な

太い釘のようである:そして、不浄観などの修行の対象に対する如理作意は、

あの細い木釘のようである;不浄観などの、その他の対象を思惟する事に

よって、悪念を取り除く事ができることは、細い木釘を利用して、

太い木釘を取り除くのと同じである。

上記は、註疏の解釈である。(+ )(= )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)