Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-57

難陀尊者の物語~

次に、私は、難陀尊者(Venerable Nanda)の物語を

通して、細い木釘を用いて、太い木釘を取り除く方法について、

解説したいと思う。

難陀尊者は出家した後、梵行の生活が好きになれなかった。

というのも、彼の妻である国美王妃(queen Janapadakaiyāṇī)

の囁き声が、ずっと彼の耳元で響いていたから:「愛するお人、

早く私の所へ帰ってきて。」

仏陀は、難陀尊者の苦悩を知っていたので、彼の煩悶と絶望を

直ちに解決するために、彼に言った:「来なさい、難陀。

我々は天界に行って見よう。」

難陀は答えて曰く:「世尊、神通力のある人しか天界に行くこと

ができません。私がどうして行けましょうか?」

仏陀:「あなたは天界に行きたいという願を立てさえすれば、

すぐ行くことができるし、天界の風景も見る事ができます」

仏陀の目的は、巧みな方便によって、難陀尊者の心の中の、

貪欲によって生起した激烈な痛苦を和らげることであった。

そこで、仏陀は、難陀尊者の手を握って、神通力によって、

忉利天まで連れて行った。天界に向かう道すがら、仏陀

難陀尊者に一匹の老いた雌猿を見せた。この雌猿は、火に

焼かれた農場の、黒こげになった切株の上に座っていて、

彼女の鼻、耳、尻尾は焼かれてボロボロになっていた。

忉利天に来ると、仏陀は難陀尊者に帝釈天王に仕えている天女たち

を見せたが、彼女たちの桃色をした足は、鳩の足の色のようで

あった。仏陀は訊ねる:「難陀、あなたは、鳩の足と同じ桃色の

足をした500人の天女を見ましたか?」

「見ました、世尊」

「今、私が訊ねる事に、正直に答えて下さい。あなたはどう思いますか?

ここの天女たちの方が美しくて、感動しますか?それともあなたの、

以前の妻である国美王妃の方が、美くしくて、感動しますか?」

(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)