難陀尊者の物語~
次に、私は、難陀尊者(Venerable Nanda)の物語を
通して、細い木釘を用いて、太い木釘を取り除く方法について、
解説したいと思う。
難陀尊者は出家した後、梵行の生活が好きになれなかった。
というのも、彼の妻である国美王妃(queen Janapadakaiyāṇī)
の囁き声が、ずっと彼の耳元で響いていたから:「愛するお人、
早く私の所へ帰ってきて。」
仏陀は、難陀尊者の苦悩を知っていたので、彼の煩悶と絶望を
直ちに解決するために、彼に言った:「来なさい、難陀。
我々は天界に行って見よう。」
難陀は答えて曰く:「世尊、神通力のある人しか天界に行くこと
ができません。私がどうして行けましょうか?」
仏陀:「あなたは天界に行きたいという願を立てさえすれば、
すぐ行くことができるし、天界の風景も見る事ができます」
仏陀の目的は、巧みな方便によって、難陀尊者の心の中の、
貪欲によって生起した激烈な痛苦を和らげることであった。
そこで、仏陀は、難陀尊者の手を握って、神通力によって、
忉利天まで連れて行った。天界に向かう道すがら、仏陀は
難陀尊者に一匹の老いた雌猿を見せた。この雌猿は、火に
焼かれた農場の、黒こげになった切株の上に座っていて、
彼女の鼻、耳、尻尾は焼かれてボロボロになっていた。
忉利天に来ると、仏陀は難陀尊者に帝釈天王に仕えている天女たち
を見せたが、彼女たちの桃色をした足は、鳩の足の色のようで
あった。仏陀は訊ねる:「難陀、あなたは、鳩の足と同じ桃色の
足をした500人の天女を見ましたか?」
「見ました、世尊」
「今、私が訊ねる事に、正直に答えて下さい。あなたはどう思いますか?
ここの天女たちの方が美しくて、感動しますか?それともあなたの、
以前の妻である国美王妃の方が、美くしくて、感動しますか?」
(つづく)
(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)
中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)