Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-61

チャンナ尊者の物語~

ここで、私はチャンナ尊者(Channa Thera)の話をしたい:

仏陀が大般涅槃に入った後、サンガは、仏陀の指示に従って、チャンナ

尊者に対して梵罰(brahmadaṇḍa)を実施した。

梵罰を受けた後、チャンナ尊者は修行に精進し、名法と色法を照見できる

ようになった。言い換えれば、五蘊を照見できるようになったのである。

彼は観智を以て、各蘊毎の無常・苦・無我の本質を明晰に理解すること

ができた。彼が五蘊の無常と無我の本質を照見する時、彼は思った:

「おお、一切はみな、無常であり、無我である、しかし、これらの

無我なる法は、疑いなく善業と悪業を造作している。それならば、

誰がこの善業・悪業の果報を受けるのだろうか?これらの善業・悪業

の果報を受ける人は、いないのではないか?」

このように、彼は断見と常見を取り除くことができなかった。

「善業と悪業の報は誰が受けるのか?」この考え方は常見である。

「一切が無常であるならば、善業と悪業の報を受ける人はいない」

この考え方は断見である。

こうして、チャンナ尊者はアーナンダ尊者に会いに行き、

自分が陥っている困惑について述べた。

アーナンダ尊者は、《迦延経 Kaccanagotta Sutta》を教えたが、

この経は、縁起の修行方法について、徹底的に述べたものである。

この経を聞いた後、チャンナ尊者は種々の邪見を取り除くことができた。

故に、自分で如理作意ができない人は、自己の導師に助けを求め、

導師に向かって自己の修行上の困惑を報告するべきである。

賢明な導師は、煩悩を取り除く方法を教えてくれる。

(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)