Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-68

ダッダバ本生経の物語~

《ダッダバ本生経 Daddabha Jātaka》の啓示を通して、我々は、

前述(No.66、67)の意味を、理解する事ができる。

ある日、森林の中で、一羽のウサギが北路瓦樹の下で寝ていた。

一粒の北路瓦の実が熟して、枝から分かれて落ちてきて、ウサギの

耳元の地面に落ちて、大きな音を立てた。ウサギは驚き夢から覚めて、

心の中で思った「世界が壊滅する!」ウサギは慌てふためいて逃げた。

その他の野獣は、ウサギが逃げ出すのを見て、彼らも飛ぶように逃げた。

その時、我々の菩薩は一頭の獅子に生まれていたが、彼は思った

「世界は、ただ大劫の末端において壊滅する:劫の初めと劫の終わりの

間に世界が壊滅する事はない。私は、順序良く消息の源の、またその源を

調査して、真相を明かにしよう。」

獅子は、個別に一匹づつ動物を訪ね歩き、まずは大象に聞いてみた。

ウサギの所へ来た時、彼は訊ねた「ウサギさん、あなたは世界が壊滅する

のを、確かに見たのですか?」ウサギ「はい、そうです。大王様」

獅子「来なさい、(+その場所へ)一緒に行こう」

ウサギ「怖くて行けません」

獅子「行きましょう。怖くはありません。」

獅子は優しい言葉と毅然とした言葉を交互に使い分けて、ウサギを連れて

現場へと向かった。

北路瓦樹の近くへ来た時、ウサギは歩みを止め、木を指さして言った。

「神のご加護を!私がさっき寝ていたあの場所で、大地が大きな地響き

の音を立てたのです。私には、大地がどうしてあのような大きな音を

立てたのか分かりません。」

菩薩はウサギに言った「君はここで待っていなさい。」

そして獅子は木の下まで歩いて行った。さっきまでウサギが寝ていた場所

に行くと、地面に北路瓦の果実があるのが見え、目を上げると、枝に果実

の柄が残っているのが見えた。そして、獅子は結論した「ウサギがここで

寝ている時、北路瓦の実が彼の耳元に落ち、その音を聞いて、彼は世界が

壊滅する、と思ったのだ。」と。

そして、獅子はウサギの所へ行って、自分の発見が事実と合致しているか

どうか、ウサギに色々訊ねた。ウサギは答えた「まさにその通りです、

大王様。」ウサギは獅子の結論が正しい事を保証した。

そして獅子は、下記のような偈を述べた。

「果実の落ちる音を聞き、ウサギは飛び跳ねた。ウサギの言う事を

聞いて信じた獣たちは、命からがら逃げた。」

そして、獅子は野獣たちを安心させるように言った「怖がらなくてもよい。」

このように、禅修行者は、一段また一段と(+問題の)源の、そのまた

源を調査する事によって、心の中の悪念を取り除くことができる。

これが註疏の解釈である。(+ )訳者。(つづく)

訳者コメント:<北路瓦樹>ってどんな木でしょうか?現代中国語

辞典には載ってないです。音訳でしょうか?それなら<ペールワ樹>

という事になりますが、インドにそんな木があるのでしょうか?

どなたか教えて下さいませ。

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)