Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-135

仏陀の慈愛:ある時、仏陀が団長となって、サンガの人々が、

クシナラに行った時、馬羅国の王子たちが、一つの取り決め

をした。

それは、もし、サンガを出迎えにいかない人がいたら、

懲罰する、というものであった。

その時、名前を羅加という馬羅の王子がいて、彼はアーナンダ

尊者がまだ出家していない時の、友達であった。

彼は出迎えに行きたくはなかったが、取り決めに従って、

サンガを出迎えに行った。

その時、アーナンダ尊者は、羅加に、このようにする事

(=皆で出迎える)は、得難い縁である、というのも、

今回、団長として、サンガを引き連れてきたのは、

仏陀であるから、と言った。

羅加は、自分は、取り立てて三宝に信を寄せている訳で

はなく、ただ、彼らの間で取り決めがあったので、

来たのだ、と言った。

羅加の返答に不満を持ったアーナンダ尊者は、この事を

仏陀に報告し、仏陀に、何らかの方法によって、羅加の心が

軟化するようにして欲しいと、頼んだ。

仏陀は、ただ慈愛を羅加に送っただけで、彼は母牛から

逸れた子牛のように、即刻、仏陀に会いに、お寺にやって来た。

そして、仏陀に対して、真実の信が生起したので、

彼は仏陀に礼拝し、仏陀の説法を聞き、須陀洹になった。

《増支部・11集・随念品・経五》では、

不断に慈心を育成する人は、11種類の利益を得る事が

できると説明している。

一、安らかに眠れる。

二、静かな心で目が覚める。

三、悪夢をみない。

四、人類から愛される。

五、非人(夜叉や幽霊)から愛される。

六、天神の保護を受ける。

七、火、毒と武器から守られる。

八、心が定に入り易い。

九、顔が穏やか。

十、死ぬ時迷わない。

十一、今生で阿羅漢果を証悟しない場合、

梵天界に生まれ変わる。

(+ )(= )訳者。(つづく)

(<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」>(1999年版)

中国語版→日本語 翻訳文責Pañña-adhika sayalay)