Sayalay's Dhamma book

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パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-148

二、無畏施

衆生が、国王、盗賊、火災、敵、野獣、龍、夜叉、阿修羅などの危害に会ったとき、菩薩は無畏施を布施して、自らの生命を顧みずに、彼らを保護し救済する。

三、法施

法施とは、無貪、無瞋、無痴で、清浄なる心を言い、決して曖昧な態度で真実法を教えることはない。

非常に強い善念をもって弟子(阿羅漢)になりたいと思っている人に、菩薩は彼に三帰依、持戒、諸根の防護、食における知足、正念の修習、七善法、止禅(=サマタ)と観禅(=ヴィパサナ)の修習、七清浄、四道智、三明、六神通、四無碍解智と弟子菩提、すなわち阿羅漢果を開示する。

彼は、詳細に、上述の諸法の本質を述べて法施とし、三帰依、持戒などをいまだ実践していない人々が、これらの徳行を打ち立てられるよう、支援する。これらの徳行をすでに確立した人々には、さらに一歩進んで前進するよう、また浄化できるよう、支援する。

同様に、パーチェカ仏陀になりたいか、または仏を円満成就したいと発願した人々に対しては、菩薩は彼らに対して、10波羅蜜の内容(+相と作用など)を詳細に解説することによって、法の布施を行う。

彼はまた、菩薩の三つの段階における栄誉、すなわち波羅蜜の修習、成仏の時、および仏陀の任務の遂行について、詳細に説明する。

彼は、人がパーチェカ仏陀果または仏果を十分に証悟できるよう修行するための支援をし、すでに確立したものに関して、さらに前進し、浄化できるよう支援する。

布施波羅蜜の修習をする時、菩薩は、自己の生命と財物は無常であることを領悟する力を育成する。彼はまた、これらの財物は他人と共有するものであると見做す。

彼は不断に、衆生に対して大悲心を育成する。大悲心を育成している時、彼は財物の中から功徳の精華を蒐集する。

たとえば、ある人の家が燃えた時、命を保つためにそこから逃げ出すと同時に、最も貴重なものを安全な場所まで運び出すように、である。

同様に、菩薩はすべての財物を物惜しみすることなく、ひとつ残らず布施をするが、それは、不断に、欲火などの11種類の火(=貪、瞋、痴、生、老、死、愁、悲、苦、憂、悩)に苛まれている(人、天、梵天)の三界の宮殿から己を救出し、同時に貴重な財物を持ち出しているようなものである。

布施をするとき、彼は、布施の品物が何であるかとか、自分の手元に何を残しておこうかなどと考慮することはなく、分別心もまた、一筋もないのである。(以上が、布施波羅蜜を修習する方法である)。(+ )(= )訳者。

(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>