Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-161

(1)菩薩の手元に布施できる物品が

あるときで、かつ、乞う者が来たが、

しかし、彼の心には、布施をしたいと

いう傾向がない場合、彼は理解する:

「絶対に、私は布施の習慣に慣れて

いないに違いない。ゆえに、このような

良き因縁の時にも、私には、布施を

しようという考えが起きない。」

その後に再度反省して:「布施の心が

私の中で生起することはなかったが、

私は布施をすることによって、布施

することに慣れ、その楽を楽しもう。

今から始めて、私は気前よく布施しよう。

私はすでに、すべての財物を、それを

望む人に、布施すると決意していたの

ではなかったか?」

このように考えて、彼は心愉しく、

執着せずに布施をする。

このようにして、菩薩は「以前から、

布施の習慣がなかった」という、

この障害を取り除く。

(2)十分な財物が手元になくて、

布施できないときは、菩薩はこのように

考える:「以前、私が布施をしなかった

ために、今になって、財物が足りないと

いう困惑に陥っている。ゆえに、私は

どんなものであっても、それが少量で

あろうとも、品質の劣ったもので

あっても、それを布施すると自分の

生活に困ることがあっても、

私はそれを(+布施することを)望もう。

この布施を通して、未来において、

私は布施波羅蜜の頂点に到達する

ことができる。」

このように考えた後、彼は喜びをもって、

執着せずに、布施をする。

このようにして、彼は「十分な財物が

ないために布施ができない」という

二番目の障碍を取り除く。

(3)所有している品物が良すぎて

布施できない時、菩薩はこのように考える:

「おお!あなたは、最高に聖潔な、最も

人にうらやましがられる正等正覚を証悟

したいと願っているのではないか?

それを獲得するために、あなたは最も聖潔で、

最も人がうらやむものを布施しなければならない。」と。これが三番目の障碍。

(4)布施した後で、財物が減少したのを

見て、菩薩は以下のように省察する:

「壊滅と損失から逃れられないのが、

財物の本質である。以前、私は全くの

損失をこうむらないような布施を

したことがないため、今現在、私は

財物の損失という状況に陥っている。

私は、少ないとか多いとかを考慮せずに、

自己の持つ財物を布施しよう。

この布施を通して、未来において、

私は布施波羅蜜の頂点に到達しよう。」と。

適切な反省と思考により、これら布施への

障碍を取り除くことは、布施波羅蜜を

円満成就するための、良き方法である。

同様に、この方法は、持戒などのその他の

波羅蜜に適用することができる。

(+ )(= )訳者。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>