Sayalay's Dhamma book

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パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-173

問1-8:行禅とは何ですか?たとえば、歩くときには、どの速度が一番良いですか?ゆっくり、中くらい、それとも速く?行禅の時、我々は何を「想」えばよいですか?

私は初心者です。

禅師に、初心者が定力を育成することに対するアドバイスをお願いします。

答1-8:四種類の明覚(sampajana)がある:

一、有義明覚(sātthaka sampajana)ーー何が利益であり、何が利益のないことであるかを、明確に知っている。

二、適宜明覚(sappaya sampajana)ーー何が適切で、何が適切でないかを、明確に知っている。

三、行処明覚(gocara sampanaja)ーーどのような姿勢においても、己が用いている修行方法について、明確に知っている。

四、不迷惑明覚(asammoha sampajana)ーー観智でもって、究極的な名色法を明確に知っている事。すなわち、観禅。

前の二種類の明覚は、禅の修行ではなく、第四番目の明覚は、まさに観禅である。ゆえに、あなたが止禅を修習したいのであれば、第三番目の明覚を修行していることになる。あなたは、一切の姿勢、すなわち:行、住、坐、臥の中で、禅の修習の法門に専注しなければならない。

もし、あなたがあなたの最大の努力を尽くすことができ、一切の姿勢の内に、禅の修習の法門に専注するならば、あなたの定力は、進歩する。

《清浄道論》の中で、定覚支を高めるのに助けになる方法が、11種類書かれている:

一、清潔を保つーーあなたは、あなたの身体、爪、衣服等を清潔に保たなければならない。

二、相において巧みである事ーーあなたは、己の修行している法門の予備相、取相及び似相を知ることに巧みでなければならない。

たとえば:安般念の禅相、地遍の禅相等;

三、五根のバランス:

四、適宜な心の抑制ーーあなたの択法覚支、精進覚支と喜覚支が強すぎるとき、あなたは、あなたの心の抑制しなければならないし、かつ、軽安覚支、定覚支と捨覚支を促進することに重点を置かなければならない。

五、適宜な策励心ーーあなたの軽安覚支、定覚支と捨覚支があまりに強い時、あなたはあなたの心を引き立て、かつ、択法覚支、精進覚支と喜覚支の促進に重点をおかなければならない。

六、信心(=確信)と悚懼智(=畏れの智慧)でもって、元気のない、萎れた心を激励する。

七、平等・捨心でもって、因果の応報の事柄を見る。

八、心的散乱者との往来を避ける。

九、常に、禅定のある者と往来する。

十、禅定と解脱の利益を思惟する。

十一、心を禅定修行に傾倒、向かわせる。

あなたは上述した方法を用いて、あなたの定力を上昇させることができる。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>