南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-183

     <問答三>

 

問3-1:

禅師は、開示の中で、我々の菩薩が過去世において、獅子王として生まれた時、ウサギが睡眠中に落ちてきた木の実に驚き、世界の末日がきたと思い込んで、森林のすべての野獣を恐怖に陥れたことがあります。

獅子王が一つひとつ追跡して調べてみると、最後に、誤解が拡散されただけだ、という事が分かりました。

私、(+あなたの)弟子は、非常に不思議に思うのですが、人と人との間であっても、なお言語的な壁があるのに、異なる動物の間で、意志が通じたのでしょうか?

禅師、慈悲をもって、開示してください。

答3-1:

私が思うに、それは、菩薩の波羅蜜が原因で、彼には、その他の動物と通じ合えるような力があったのであろう。

たとえば、仏陀は、説法する時、ただ一種類の言語しか使わないが、しかし、全インドの各地から集まった、異なる方言を持つ人々にも、はっきりと仏陀の説法が分かった、ということである。

問3-2:

白遍を修行するとき、頭蓋骨の白い色を対象としますが、その理由は、相を取るのが簡単な以外、他に何か意味がありますか?

答3-2:

実際は、私は修行者を指導する時、白い花、白い石、白い布などの白色を対象として白遍を修行させる。このように、白い物ならどんなものでも、皆、白遍を修行するときの対象とすることができる。

問3-3:

どのようにすれば、己自身、また外部の環境に対して覚醒を持ち、かつそれが明瞭でありえる、という状況を作れますか? 

答3-3:

己自身、及び外部の環境に対して覚醒し、かつそれが明瞭でありえる状況を保つには、あなたは四念処を修行する必要がある。

四念処とは:

一、身念処。

二、受念処。

三、心念処。

四、法念処。

身念処は、止禅と観禅を含み、その他の三種類は、純粋な観禅になる。

あなたがアーナ・パーナ・サティを修習する時は、すなわち、身念処を修習しているのである。もし、誠心誠意、敬いの心で、不断に継続的に修習することができたならば、あなたの正念はますます強くなり、定力はますます深くなる。

そして、あなたの心は、静かになり、はっきりと目覚めていられるようになる。

修行が観禅まで進むと、あなたははっきりと内部と外部の名色及びそれらの因を見る事ができる。言い換えれば、あなたは、はっきりと、内部と外部の身、受、心、法を観照することができる。

ゆえに、もし、己自身と外部の環境に対して覚醒を保ちたいのであれば、観禅の修行ができるように、あなたは、強くて力のある定力を育成するよう、努力する必要がある。

もしあなたが、阿羅漢果を証悟することができるならば、それが最も良い。というのも、阿羅漢は覚醒と正念を、絶え間なく保持し続けている(+存在である)から。

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。(つづく)

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<パオ・セヤドー講述「菩提資糧」1999年中国語版→日本語訳出

翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>